遅くなりましたが、バタバタしており十分な時間が取れませんので、今回はごく簡単に。
◎ 第62巻 「那智」
シリーズ第62巻は、「妙高」 型の2番艦 「那智」 で、1941年の設定とされています。
例によってモデラーさんとしてモニターをされているHN 「おまみ」 氏の評価記事は既に次のURLにUPされております。
“艦橋のリサーチミスがなければ良作だった妙高を超えていました” との評価ですが、“考証に関しては初期から中期にかけては向上が見られましたけど、それ以降は再び下がり調子”と付け加えられています。
これについては、大筋としては私としても全く同意できるところです。
最も肝心なところは、本シリーズでは 「妙高」 型4隻中の2隻しかラインナップされなかったことです。 第17巻の 「妙高」 が1944年設定 (迷彩塗装の1945年設定は避けた?) はよしとして、ならば何故もう一隻が1941年設定の 「那智」 なのか?
1944年ならば公式図が残されていますし、就役後の姿なら写真なども揃っています。 特段のトピックがあるわけでもないし、史料や写真がほとんど無く不明な点の多いこの年代設定には大いに疑問の残るところです。
私がモデル・アドバイザーの一人であった時には、可能な限り年代と艦型にバラエティさを出すように要望してきました。 それが本シリーズの一つのウリにもなっていた筈です。
だとすると、1944年設定の 「妙高」 に対して、就役時の 「那智」 あるいは訪欧時の 「足柄」 でも良かったのではないでしょうか? このことは 「那智」 に限らず、他の巻でもちょっと設定が中途半端過ぎるところが目立つような気がします。
そしてモデルの出来についてですが、これはおまみ氏も指摘されているように、艦橋の形状が誤っている、ということに尽きるでしょう。 なぜこのようなことになってしまったのかちょっと理解に苦しむところです。
艦橋というのはいわば艦船の顔です。 これでは1941年どころか、後の改造後の姿でもありません。
企画、考証、モデル・デザインのいずれの段階でも誰も気が付かなかったのでしょうか?
前部マスト、1番砲塔測距儀覆、舷窓、高角砲などなど挙げればキリがありませんが ・・・・ これら全ては艦橋の誤りに比べれば小さいことです。
そして2・4番砲塔上のアンテナの表現などは、まあ好みの問題としても、折角1・2・4番砲塔と3・5番砲塔との天蓋形状の違いさえそれなりに表現されているのに、です。
全体の見栄えとしての製造上のレベル向上が見られているだけにいかにも残念なところと言えます。
さて、いよいよ第63巻は待望の 「瑞鶴」 ですが ・・・・