塚本晋也の監督作「野火」が、5月31日まで開催されていたスイスのバーゼル・ビルトラウシュ映画祭のインターナショナル・コンペティション部門“カッティング・エッジ”においてグランプリを獲得した。
「野火」は、大岡昇平の同名小説を原作としたヒューマンドラマ。第2次世界大戦末期のフィリピンを舞台に、極度の飢えに苦しみ、生死の狭間で葛藤する日本兵の姿を描く。
今回のグランプリは、カナダの映像作家ガイ・マディンとエヴァン・ジョンソンが手がけた「The forbidden Room(原題)」との同時受賞となる。なお同部門には13作品が出品されており、ほかの候補作にはリサンドロ・アロンソがヴィゴ・モーテンセンを主演に迎えて製作した「約束の地」、ベトナムの若手監督ブイ・キム・クイの「NGUOI TRUYEN GIONG THE INSEMINATOR(原題)」などがあった。
塚本は、受賞を受けて「このような素晴らしい賞を頂戴して驚くやら、嬉しいやらです。しかも去年はアレハンドロ・ホドロフスキー監督が『リアリティのダンス』で受賞したそうで、大好きな監督さんと名前を連ねることが出来て光栄です。2011年スタートとまだ新しい映画祭ですが、『野火』のような自主製作・自主配給の映画にとっては大きな励みとなるプレゼントを頂いたような気分です。いつか御礼に行って、今度は僕が、この若い映画祭を応援出来たらと思ってます」と喜びのコメントを発表した。
「野火」は、7月25日より全国でロードショー。7月1日には、本作の公開を記念するイベントが東京・WWWにて行われることがすでに発表されている。