"フェイク"だからこそ高品質なエコファーやエコレザーが需要増

ハナエモリ マニュスクリ新作のエコファーコート
ハナエモリ マニュスクリ新作のエコファーコート
画像: Fashionsnap.com

 2015-16年秋冬シーズンは、ファーがビッグトレンドのひとつ。アウターだけではなく小物にまでファーがふんだんに提案されているが、動物の毛皮ではなく合成繊維を使用した"エコファー"を使用するブランドが増加。動物愛護という観点だけではなく、素材技術の向上や安定供給などの背景から、あえて質の高い"フェイク"のファーやレザーが支持されている。

 ハナエモリ・アソシエイツがデザイナー天津憂を起用した新ライン「ハナエモリ マニュスクリ(HANAE MORI manuscrit)」の展示会で、来場したエディターらがこぞって着用したアイテムが、エコファーのロングコートだ。複数の色を組み合わせたデザインが特徴だが、毛皮で作るには無数の皮を接ぎ合わせる工程が必要。しかし今回の新作は編みによってファーの色柄を表現しており、「無駄がなく扱いやすいエコファーは、仕立てがシンプルになるのでなめらかな毛並みが実現できる」(デザイナー天津憂)という。また、コレクションではイタリア製の人工皮革「アルカンターラ」も使用している。

 エコを推進するデザイナーの代表格は、英国のステラ・マッカートニー(Stella McCartney)だ。父親のポール・マッカートニーと同じく菜食主義で知られ、レザーや毛皮を一切使用しないだけではなく、いかなる動物実験や動物由来の資材も使用していない。明確な背景を特定の工場で、安全かつ高品質の素材開発から服づくりまで徹底することが"真のラグジュアリー"だと定義し、支持を集めてきた。上質さを求めて「カネカロン」のエコファーや東レの人工皮革「ウルトラスエード」といった日本の素材を選ぶ高級ブランドも少なくなく、東レの担当者は「(人工皮革は)車などの資材に使用されることが多かったが、ファッション分野の需要が高まっている」と話している。

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