PhotoVisionTV 202HW 解約してもフル画面でフルセグを見る方法
- カテゴリ: 雑記
- 投稿日時: 2015/04/18(土) 00:04:12
PhotoVisionTV 202HWをご存知でしょうか。ソフトバンクがテレビCMまで打って大々的にぶち上げていた、テレビにもなるフォトフレームです。いやフォトフレームにもなるテレビかな。2年前iPhone5との抱き合わせで契約しました。契約といってもうちの場合、2年間の維持費はタダだったので、実質はまるっきり無料でいただいたというほうが正解です。自分とカミさんそれぞれ一台で計二台を所有しております。
この202HW、名前の通りHuaweiのAndroidタブレットですが、テレビ視聴用にあちこち最適化されています。専用の赤外線リモコンが付属、ディスプレイにタッチパネル機能は無し、アンテナは内蔵で外部アンテナにも対応、録画や視聴予約も可能、防水(IPX5)、等々。
9インチくらいの地デジが映るテレビって案外売ってません。手ごろなサイズ感とバッテリ動作できる手軽さから、我が家(というか実家)では何気に重宝されてました。
ひとつだけ残念な仕様があります。生きているSIMを挿していないと画面サイズが1/4になってしまうこと。いわゆるソフトバンク縛りです。月額税込915円を上納すればフル画面で見られますが、MNPでauに鞍替えする前にソフトバンクショップでしっかり解約しております。
で、世の中にはえらい人がいるものでして、SIMなしでもフルサイズ表示する方法があるとのこと。電子工作好きでPCいじりが趣味なら割合簡単にできそうということでチャレンジしてみました。
ソースは主に巨大掲示板です。
順を追って説明していきましょう。
202HWは従来、本体ソフトウェアバージョンがα18.1以前と以降とでずいぶん扱いが違っていました。
α18.1以前の場合、内部に隠されているUSBコネクタとPCをケーブルでつなげば、あっさりとADB接続できたらしいです。rootのロックもかかっていなかったようです。
173210氏による改造ツール「Photovision TV 202HW 機能制限解除スクリプト」を使えば、簡単にSIMなしフル画面テレビ化できました。
Photovision TV 202HW 機能制限解除スクリプト(リンク切れ)
でもその後のソフトウェアアップデートで穴が塞がれて、ADB接続できなくなってしまいました。結果、α18.1以降の機体はヤフオクやハードオフで二束三文で売られるようになったと。
そんな折、まさかの救世主が降臨。本体内部のシリアルポートに物理的に接続してコマンドを流し込み、無効化されていたADB接続を復活させることに成功したのだそうです。残念ながらその方のブログはもうありません。お名前もわかりません。でも情報は拡散していてあちこちで見ることができます。ありがたいことです。
photo vision TV、α24.1ファームでも制限解除できた。 マイコン遊び(リンク切れ)
必要なもの
- PhotoVisionTV 202HW
(本体ソフトウェアバージョンはα24.1は可。α28.1は未確認α28.1でも可) - ポリウレタン銅線などの細い線材
- ハンダ付けの腕
- USB-シリアル変換基板
- シリアル通信ソフト
- ADBが実行できる環境
- Huawei MediaPad10用USBドライバ
- Photovision TV 202HW Function Unlocker
まずはADB
自分、激古いAndroidは持ってますがまったくの門外漢。AndroidをPCとつないで中身をいじくり倒すための仕組みについてはさっぱりでした。で調べました。
ADB(Android Debug Bridge)はAndroid SDK に含まれるツールのひとつで、現在利用可能なデバイス・エミュレータの列挙、シェルコマンドの発行、ファイルの転送などが行えます。
(引用元: Android プログラミング入門)
今回は「シェルコマンドの発行」「ファイルの転送」をしたいわけです。
ADB環境の構築方法については、長くなりそうなわりに本筋から外れますので、参考にしたサイトを貼っておきます。
【ADB】Java(JDK)とAndroid SDKを導入してADBコマンドを使えるようにする
USBドライバのインストールの前まで、まんまこの通りにやりましたよ。キャプチャも多くて説明がとてもわかりやすかったです。
USBドライバ
AndroidをPCとADB接続するためにはUSBドライバが必要です。USBドライバはほとんどの場合機種固有です。202HWの場合、そのものズバリではありませんが、HuaweiのMediaPad10というタブレットのものが流用できます。
ググればすぐに見つかりますが、ふたつほど貼っときます。ダウンロードするのは「Huawei-MediaPad-10-FHD-USB-Drivers-TeamAndroid.zip」というファイルです。前者がオススメ。
http://www.devfiles.co/download/zygGeX8N/
http://sapamau.us/watch/zip/qE2Ul8d0ce/Huawei-MediaPad-10-FHD-USB-Dri.xhtml
インストールは簡単で、zipを解凍、driver\all\ 下にある DriverSetup.exe を実行するだけ。なにかメッセージやダイヤログが出るわけでもなく、裏で粛々とインストールされます。完了すら表示されません。かなり不安になります(笑
202HW本体の確認
さあよいよいよ分解、といきたいところですが、まずは落ち着いて事前確認しましょう。
まず1/4の画面でもいいのでテレビが映るかどうか。電波強度は充分なはずなのに映らないときは、メニュー>本体設定>その他の設定>初期化>全て初期化を試しましょう。
メニューの同じ階層にあるバージョン情報も確認します。もしも本体ソフトウェアバージョンがα18.1以前の時は、後述するハンダ付け作業は不要です。
入っているのにB-CASカードが入っていないと怒られることもあります。カードを抜き差しすれば解消することが多いです。
202HW本体の分解
SIMカードとB-CASカード、あればSDカードも抜いて、背面パネルのこじ開けから始めます。
下部パネル境目のヘコミをきっかけにして背面パネルを剥がしていきます。はめ込みのみで接着剤や両面テープなどは使用されていません。こじ開けには不要なプラスチックのカードなどを使うとよいです。
背面パネルが外れました。中にはIMEIを表示するシールがありました。シールは背面パネルにもあります。なぜここまでしつこいのかは不明。
外周と、カードスロットのフタをロックするためのつまみを覆っている板金の左右にあるタッピンネジを外します。全部で18本あります。防水構造でパッキンを均一にしっかりと押さえなければならないため、ネジの本数が多いのでしょう。そうでなければ製造工数(コスト)の高いネジをこんなに多用するはずがありません。
背面向かって右下の角部分だけ、この様にネジ頭にシールが貼ってありました。理由は謎です。
ネジが全部外れたらひっくり返し、液晶部分をパカっと持ち上げます。写真は天地がさかさまです。液晶パネル側と本体基板は2本のFFCとバラ線のコネクタ1本の計3本のケーブルで接続されています。
FFCはコネクタの黒いロックを起こしてから外します。バラ線のコネクタはロックはないのでただ抜くだけ。
天地を元に戻しました。右下にあるHuaweiロゴが付いている黒いものがバッテリーですね。矢印で示したところの裏にUSBコネクタがあります。
これがUSBコネクタ。一般的なMicro USBです。ネジを外して基板を浮かせないとアクセスできません。
USBコネクタの右下、基板の品番を示すシルクのチョイ下、スルーホール裏側にUARTがあります。
基板を外してぐるりと裏返しました。スピーカーは防水処理のおかげで容易には外せません。線を切らないように注意します。赤丸部分が目的のUART。UARTについては後述します。
202HWとPCをつないでみる
ここで試しに、202HWとPCをUSB接続してみましょう。本体基板にACアダプタから給電し、USBケーブルをPCにつなぎます。液晶パネルやバッテリは繋がなくてよいです。
左側にあるメインスイッチをON。すぐ上のLEDが緑色に点灯します。
PCのデバイスマネージャには、DVD/CD-ROMドライブとして「Linux File-Stor Gadget USB Device」というものが現れます。他にもユニバーサルシリアルバスコントローラに「USB大容量記憶装置」という項目があります。
本来ならデバイスマネージャには「Android Phone」という項目が出現しなければなりません。この状態がいわゆるADBを塞がれた状態というわけです。
確認が済みましたので202HWのスイッチを落とし、PCからUSBケーブルを切り離して電源プラグも抜いておきましょう。
UARTとUSB-シリアル変換基板
塞がれた穴をこじ開けるのには、本体内部のシリアルポートに物理的に接続してコマンドを流し込む必要があります。
UART - 汎用非同期送受信回路の詳しい説明はWikipediaなどに譲りますが、早い話がシリアル通信装置の一種です。接続は簡単で必要な線は3本。TX(送信)、RX(受信)、GNDです。
ここまではすべて無料でできましたが、この先に進むためにはハードウェアを買わなければなりません。USB-シリアル変換基板です。市販のUSB-シリアル変換基板を介して、PCをこのUARTに接続します。
USB-シリアル変換基板は文字通りUSBをシリアルポートに変換してくれる基板です。PCにあるRS232Cもシリアルポートですからそれが使えそうですが、PCは5V、202HWのUARTは3.3Vと電圧が異なるためそのまま接続はできません。どうしてもという場合はレベルコンバート基板をかませばいけるようですが、値段はそれほど変わりませんしむしろレベルコンバート基板のほうが高めです。
これが今回用意したUSB-シリアル変換基板です。ポイントが残っていたのでマルツで購入しました。税込919円。いまのところはまだヤマト運輸のメール便が使えるので送料が割安です。
マルツの商品説明に従って石のメーカーサイトからドライバをダウンロードしておきます。ちなみにマニュアルには、ドライバのインストールは変換基板をPCに接続する前に済ませておくように書かれていました。慌ててつながないほうがよさそうです。
電圧設定などのSJ1~SJ3のジャンパはすべてつなげておきます。実際に配線するのは1番ピンGND、2番ピンRX、3番ピンTXだけです。
ひとつ注意ですが、202HW側のTXを変換基板のRXに、RXをTXに接続します。接続を間違えるとまったく通信できないのは言うまでもありません。シリアル通信ソフトのコンソール画面になにも出てきませんからすぐわかるでしょう。
202HWから配線を引き出す
202HWの基板に戻ります。USBコネクタのちょっと下、丸いランドが縦に4つ並んでいる付近から配線を取り出します。大きな丸いランドからではありません。
当該部を拡大しました。配線のピッチは約1mm。右がTX、左がRXです。GNDは実装されていないコネクタのところから取ればよいです。
手持ちの線材をハンダ付けしました。結構難易度が高いですが落ち着いてやれば大丈夫。コテ先はそこそこいいものを使いマメにクリーニングしたほうがよいですね。
引き出した配線を変換基板につなぎます。TXをRXに、RXをTXにです。大事なことなので二回言いました(笑
ブレッドボードを使っていますが、もちろん直接ハンダ付けしてもかまいません。
USB-シリアル変換基板のドライバインストールと設定
PCにつなぐ前に、ドライバを台湾のサイトからダウンロードしインストールします。特筆するところはありません。
インストールが完了したらPCと接続しましょう。202HWのメイン基板だけでよいです。バッテリーも液晶画面も必要ありません。ACアダプタはつないでおきますが、まだ202HWの電源は入れません。
デバイスマネージャに新しいCOMポート、Prolific USB-to-Serial Comm Portが現れました。今回はCOM10になりました。
右クリックしてプロパティを設定します。
「115200bps、データビット8、パリティなし、ストップビット1、フロー制御なし」です。
やらなくてもいいかもしれませんが念のため。
シリアル通信ソフトのインストールと設定
シリアル通信をするためのソフトをPCにインストールします。WindowsにおまけでついていたハイパーターミナルはVista以降なくなってしまいましたので、何か別のものを探さないとです。一番人気はオープンソースのフリーウェア、TeraTermでしょうか。まあ、何でも構わないのでターミナルソフトを導入しましょう。
今回は仕事で使ったことがあり慣れているMulti Port Terminal 2を使用しますよ。シェアウエア3675円ですが、試用時の制限はありません。
簡易ターミナルソフト (Multi Port Terminal 2) - 金澤ソフト設計
インストールに戸惑うことはないです。インストールしたら起動します。Prolific USB-to-Serial Comm Portに割当てられているCOMポートの設定をします。ドライバのインストール時にデバイスマネージャで設定したのと同じですね。こちらだけやればいいかも。検証してません。
UARTにコマンドを流し込む
コンソールになにか文字が出てきたらひとまず設定は成功しています。いよいよ202HWの電源を入れます。
コンソールにすごい勢いで文字が表示されていきます。正直、内容はよくわかりません。PCを起動するときにBIOSがメッセージを出力していくのと同じような感じです。ちゃんと読むといろいろ面白いことが書いてありますが、解析が今回の趣旨ではないので割愛。
しばらくするとバッテリーが接続されていないというメッセージが定期的に吐き出されるだけで、文字列の出力が落ち着きます。
そうしたらキーボードから以下のコマンドを打ち込みます。コピペでもいいです。
setprop persist.service.adb.enable 1
ADBを有効にするプロパティに1をセットする、という意味でしょう。これが0だとADB接続できないのだそうです。
書き込みができたらシリアル通信ソフトを終了し、USBケーブルを抜いて202HWの電源を切ります。
ADB接続
micro USBコネクタにケーブルを接続しPCとつないだら、202HWの電源を入れます。まだバッテリーも液晶画面も必要ありません。
デバイスマネージャに「Android ADB Interface」という項目が出現したら成功です。
なお、Android Phoneではなく黄色いびっくりマーク付きのUSB DEVICEなどが出てくるときは、PCのUSBポートをかえる、ケーブルを短くて高級なものにする、などすると解消されるかもしれません。USBポートはできるだけPCのマザーボードから直接出ている高速なものにするとよいです。ケーブルもシールド付の太くて硬いものを使い、できるだけ短いものを使いましょう。自分はこれで2時間ロスしました。
ADBを起動します。パスが通っていればコマンドプロンプトで「adb」でおけ。
まず202HWがちゃんと接続できているかを確認するために「adb devices」と入力します。
接続できていれば図のように最後がdeviceで終わります。
接続できていない場合はofflineになります。
もしofflineになってしまったら、次の手順を踏んでからUSBケーブルを切り離します。
1. コマンドプロンプトで「adb kill-server」と入力
2. タスクトレイの「ハードウェアを安全に取り出してメディアを取り外す」でAndroidを切り離す
USBケーブルを抜いたら、デバイスマネージャにAndroid ADB Interfaceが出ないときの対処法と同じことをします。PCのUSBポートを変更する、ケーブルを換えるetc。
Photovision TV 202HW Function Unlockerのダウンロード
ADB接続が確立したら、いよいよ機能制限解除アプリをインストールです。
Photovision TV 202HW Function Unlocker は作者の173210氏のGithubで入手できます。リンクを貼っときます。
173210/photovision_tv_function_unlocker
最新バージョンの photovision_tv_function_unlocker.apk をダウンロードします。
なお、スクリプトが同梱されているzipはここにはありません。テレビをフル画面で見たいだけなら、apkさえあれば事足ります。
173210さん、有益なツールをありがとうございます。
Photovision TV 202HW Function Unlockerのインストール
インストールは簡単。コマンドプロンプトから
adb install photovision_tv_function_unlocker.apk
と打つだけです。
キャプチャでは、apkファイルをc:\workに置いているのでフルパスで指定しています。
いくつかエラーを吐いていますが、Successとの表示があれば成功です。
アプリの実行
前述のadb kill-server~の手順を踏んで202HWをPCから切り離し、分解と逆の手順で元通りに復元します。UARTに配線したケーブルは切って絶縁するかハンダで外しましょう。
起動したらリモコンの設定ボタンを押します。ひとまずは初期化しておいたほうがいいでしょう。その後メニューの一番下でさらに下ボタンを押すと…
「Photovision TV 202HW 機能制…」というメニュー項目が追加されています。OKを押します。
出ました。これが機能制限解除ツールです。トグルになっていて、機能制限解除の有効無効が切り替えられます。
森高千里さまもフル画面で表示されました。ひゃっほぅ。
Amazonで新品が6000円弱ですね。どーですか、あなたも一台。
コメント
4件のコメントがあります
α28.1でも改造できました!
一応ご報告に
「必要なもの」の項目を修正しました。
情報ありがとうございます > だいこんさん
言い忘れていましたがα25.1でもできました。
α25.1、α28.1ともに問題ないということですね。おそらく現存するすべてのバージョンで有効なのでしょう。今後のバージョンでも問題ないでしょうね。
私見ですが、そもそも202HWのFWバージョンアップは、不具合の解消というよりは、この手の改造を防止するためのものだったような気がしています。
ハードウェアの改造でコマンドの流し込みができるようになった今、FWのバージョンアップの意味が薄れています。つまりは現状のα28.1が最終バージョンという可能性は高いです。