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1 【コンビニ店舗探訪:File-010】スリーエフ百合丘三丁目店

スリーエフ
ポツンと佇む姿に時代の移り変わりが感じられる団地の入口にあるお店
経済力がなかなか回復しない昨今では、公団住宅(団地)がまた人気になっているみたいですね。なにより家賃が安いのが魅力です。昔は面倒だったご近所付き合いも、東日本大震災以降は“地域の絆”を見直す人たちが増えてきたりして、結構入居希望者は増えているみたいです。

このコンビニも、そんな団地の敷地の入口にあって、地域の住民がよく立ち寄っています。でも、昔からこの辺りに住んでいる人にとっては、ポツンと佇むその姿がちょっと感慨深いのです。実はこの辺り一帯の団地は二代目なのです。つまり、以前あった建物を一度建て替えたものなのですね。

最初の一代目が建ったのは、日本がまさに高度経済成長に差し掛かった1960年代のはじめでした。ところは神奈川県川崎市多摩区(現在は麻生区)。多摩地区には他にも「多摩ニュータウン」など、日本を代表する郊外型の大規模な団地が開発されていますが、ここもそうした団地の一つなのです。当時は大変な人気で、すごい倍率の抽選に当たらないと入居できなかったほどだったと言います。まだ大手スーパーチェーンもない時代で、近くにはちょっとしたマーケットもありました。八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さん、お茶屋さん、乾物屋さん、酒屋さん+タバコ屋さん、床屋さんもあったかな? そうした個人商店が軒を並べて、アーケードを作っていたのですね。

でも、団地に入居した家庭の子どもたちは成長するに連れて独立していき、住民は親世代ばかりとなって、高齢化していきました。それと並行して、ほど近い場所にスーパーマーケットが進出してきたばかりか、小田急多摩線の開通によって急行の停まる「新百合ヶ丘」駅もできました。「新百合ヶ丘」がどんどん発展する一方、その手前にあって急行の停まらない「百合丘」は町自体がさびれていったのです。

アーケードには店じまいするところも増えてきて、しまいには商店すべてがなくなり、現在は代わってマンションが建っています。団地も老朽化したために建て替えることとなり、住民は一度仮転居をしてから再入居する必要に迫られて、それまであったコミュニティも消えてなくなりました。そして、新しく建った団地エリアの入口にできたのが、このお店というわけです。

時代は変わり、人も変わり、商売のあり方も変わる。そんな歴史の変遷を一身に背負っているように思えてならないコンビニなのでした。
(コンビニウォッチ!編集部)
神奈川県川崎市麻生区百合丘3-22
044-966-3062