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社説:かかりつけ薬局 利点周知し普及を急げ
厚生労働省は患者1人に1カ所の「かかりつけ薬局」制度を普及させる方針を固めた。複数の医療機関を受診しても、この薬局に処方箋を持ち込めば、服薬情報が一元管理できる。
薬局は現在、全国に約5万7千カ所ある。厚労省は2025年までに、どの薬局もかかりつけ薬局となるように、新しい制度の浸透を急ぐ考えだ。
高齢化が進み、あちこちの医療機関にかかって同じような薬を出されたり、薬を大量に飲み残したりするケースが増えている。薬の服用歴を一元管理した上で、薬局が必要に応じ医師に処方箋の変更を求めれば、こうした問題が解決できることは以前から指摘されていた。
かかりつけ薬局制度のメリットはほかにもある。
薬剤師が患者宅を訪ね、健康相談に応じたり、きめ細かな服薬指導をしたりすることもできるだろう。24時間調剤に対応する薬剤師も増えそうだ。患者からすれば、薬の飲み合わせに問題がないか確かめられるし、副作用の防止にもつながる。
膨らみ続ける医療費を抑制する観点からも、普及を急ぐべきだ。ただ、かかりつけ薬局を持つかどうかは、あくまで患者に委ねられる。厚労省には利点を広く発信する工夫も求めたい。
かかりつけ薬局制度への移行とは対照的に、特定の病院の処方箋を集中的に扱う「門前薬局」の在り方が問われている。
中には処方箋の内容を十分チェックせず、機械的に薬を出しているところもあるといわれる。門前薬局は経営上、一つの病院に依存する度合いが高く、医師の出す処方箋に疑義を挟みにくいとの指摘もある。
厚労省は16年度の診療報酬改定で、門前薬局よりも、かかりつけ薬局の報酬を増やし、移行を促す方針だ。サービス重視の考えに立った見直しであり、方向性は妥当だろう。
かかりつけ薬局が定着するかどうかは、薬局全体の7割を占める門前薬局の動向次第ともいえる。報酬改定は、門前薬局にとって経営の根幹を揺るがす問題でもある。早期に転換できるよう環境を整えるべきだ。
課題もある。薬代の患者負担分は薬局に入る報酬の原則3割だ。改定により報酬増となれば、かかりつけ薬局での患者負担は門前薬局を利用するよりも増えることになる。負担増でも納得できる満足度の高いサービスを提供しなければならない。
かかりつけ薬局制度への移行を検討している政府の規制改革会議では、病院の建物・敷地内への調剤薬局の併設を禁じてきた規制を撤廃することも主要なテーマになっている。
患者の利便性向上を図るという狙いは理解できるが、そもそも病院と薬局が業務を分担する「医薬分業」は、薬局経営を病院経営から分けて独立性を確保するためだ。門前薬局からかかりつけ薬局への移行の流れにも逆行する。慎重な検討が必要だ。
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