バーグハンバーグバーグの企画会議には「よく笑う人」と「絶対に通らない案」が必要 ~バーグ流広告コンテンツができるまで

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 今や「ネット上でバズる広告コンテンツならバーグハンバーグバーグ」と指名する企業も少なくないはず。今回は、彼らが日頃どのように広告コンテンツを制作しているのか、企画会議の進め方やクライアントへの提案方法、面白アイデアを出すコツなどを中の人に伺いました。

お話を聞いた人(上の写真左から)

シモダテツヤ氏(株式会社バーグハンバーグバーグ 代表取締役社長)
まきのゆうき氏(株式会社バーグハンバーグバーグ WEBディレクター)

企画会議=少人数が鉄則。社員の笑いを本気で取りにいく

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業務時間中の昼寝は1日2時間までOK。実際に眠っている人もいました。

――バーグハンバーグバーグの企画会議は、一言で言うとどういう雰囲気でしょうか。

シモダ氏(以下、シモダ)
 「大喜利」ですね。

まきの氏(以下、まきの) 実現できるか否かに関わらず、まずは会議の参加メンバーを笑わせるために企画を考えることが多いです。そこで面白いアイデアが出れば企画として形にしていきます。

シモダ クライアント、商品、予算、どんなことをしたいか、これらの情報を書き出したら「あれは? これは?」という感じで、各自が積極的にアイデアを出していくんです。
 とは言え会議の参加メンバーが増えるにつれてアイデアが出にくくなったり、欠席者も出てきたりといった問題もあります。できるだけ全員に「参加している感」を持ってもらいたいので、最近は3グループくらいに分かれて、社内や喫茶店など別々の場所、小人数制でアイデアを出すようにしています。

ネタが面白くない人もOK、笑ってくれる人に参加して欲しい

――会議にはどんなメンバーが参加しているのが理想的ですか?

シモダ テンションが上がる人が理想的。たとえば、よく笑ってくれる人が一人いるだけで、その場がまったく変わってくるし、確実に会議は活気づきます。思いっきり笑ってくれれば「また面白いことを言って笑わせてやるぞ!」とやる気が出ますよね。たとえ面白いことを 言えなくても、笑ってくれる人の存在は会議を円滑に進めていくための重要な要素だと考えています。

――案件はどのように進めていますか?

シモダ 案件は担当制にしています。まずは相談が来ている案件を書き出し、担当チームを決めて会議。一回で良いアイデアが出ないときは一案件につき何度かチームを変え、考え続けることもあります。逆に「これだ!」というアイデアが出ている場合や、ヒアリングに行ったときのブレストで方向性がほぼ決まった場合などは、企画書に落とし込むだけです。

絶対通らない案をクライアントに提出するワケ

まきの  3月に実施したケンタッキーフライドチキンの案件(※1)も、まさにコレというアイデアが一つ出たので、他の案は考えなかったです。

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※1:割れたスマホの画面を見せるとクラッシャーズが無料でもらえるキャンペーン。

シモダ 基本的にはひとつに絞り込むのではなく、使えると思った企画は資料に入れ込んでプレゼンで見せています。企画をたった一つしか持っていかないケースは逆に珍しいです。

まきの 企画は2〜3案プラス「絶対通らないけどプレゼンしたい案」をあわせて提案しています。たとえば某銀行のプロモーション企画で「社長のウンコする音を特設サイトで流して、この音を文字起こししよう!一番うまく文字起こせた人に賞品を進呈」という「ウンコ文字起こし選手権」という絶対通らないプレゼン案を持っていきました。
社内会議で「参加者を笑わせる」といった考え方と同じで、企画が通る・通らないに関わらず、僕たちにプレゼンを依頼してくれたクライアントをまずは楽しませ、満足させたいと思うからです。

面白アイデアを出す瞬発力は「チャット」で鍛えられる

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オフィスには「とんかつ教室」でお馴染みのロースおじさんがいました。

――クライアントを満足させる企画を作るにあたり、日頃からなにか企画を生み出すトレーニングをしているのでしょうか?

シモダ トレーニングと言えるかはわかりませんが、夜中に社員とチャットでネタ合戦をすることはあります。そもそも僕とまきのの付き合いは十年以上になりますが、チャットを通じて仲良くなったんです。皆が個人でお笑いサイトを運営していたので、チャットではアドリブで漫才のようなやりとりをしたり、大喜利をしたりが文化としてありまして。返信スピードはお互いに0.5秒くらい。逆に間があるとプレッシャーになるので、面白いやりとりを一瞬でやり合っていく感じです。

まきの それがもう十年以上も続いています。

シモダ 僕のブログには「チャットログ」というカテゴリがあり、そこにはチャット上のやりとりをそのまま掲載しているんです。やりとりが結果的に何らかの話になっていくので、チャット中にはネタを書いているような感覚もあります。

まきの 今でも夜中にチャットで話しかけられると、「来たか!」と。いい意味で身構えてしまいます(笑)。

シモダ チャットでやりとりできる職場であれば、同僚と冗談を言い合っているうちにアイデアも出やすくなると思いますね。

社外の人と週6日・1日16時間連続で話し続ける生活

――社内での交流が企画作りの基礎体力になっているようですが、社外との交流もあるのですか?

シモダ 僕は基本的に週6日くらい、経営者の方や芸人さんなど色んな人と会って飲むことが多いですね。ひたすらずっと喋ってるので脳がフル回転してて心地良いです。最近は年齢のせいか少しガタがきていますが、1年くらい前までは16時間連続で喋ることも平気でした。最近は連続で喋っていられるのも10時間が限界ですね……。

まきの 朝5時まで飲むのが普通でしたもんね。僕自身は仕事をした方と飲みに行っています。関係性を切らないでいると、もしかしたらまた仕事をくれるかもしれないので。

シモダ サラリーマンっぽい発言!

まきの 営業みたいなことを言っちゃった。でも、それは本当にけっこう意識していることですね。

シモダ なんか自分ら普通ですな。

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(了)

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( 執筆:池田園子 / 編集: )

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ライター/編集者。1986年生まれ。楽天でポータルサイト「インフォシーク」運営、リアルワールドでポイントサイト「ライフマイル」運営に携わり、独立。Webニュースメディア、企業のオウンドメディアを中心に執筆・編集を行う。ジャンルは企業・人物取材、マーケティング、IT、エンタメなど。著書に『フリーランスで食っていきたい!』『今からはじめるNAVERまとめ』(奥田園子名義)がある。