【社説で経済を読む】イルカのショーより大事なことがある (1/3ページ)

2015.6.1 05:00

追い込み漁で畠尻湾内に駆り立てられたバンドウイルカの群れ=2013年9月、和歌山県太地町

追い込み漁で畠尻湾内に駆り立てられたバンドウイルカの群れ=2013年9月、和歌山県太地町【拡大】

 □産経新聞客員論説委員・五十嵐徹

 このままでは、いずれ日本では、イルカショーが見られなくなる。水族館関係者らから、そんな声も聞かれ始めた。

 和歌山県太地町の「追い込み漁」で捕獲されたイルカについて、日本動物園水族館協会(JAZA)が、加盟施設による購入禁止を決めたからだ。

 ◆追い込まれた日本

 世界動物園水族館協会(WAZA)から「追い込み漁は残酷」と非難され、調達をやめなければ除名すると通告されていた。

 これに対し、全国紙では日経を除く4紙が5月22日付の社説で取り上げた。産経は、WAZAの通告そのものが「事実誤認と偏見に基づいてはいなかったか」と疑問を呈し、「孤立化をちらつかせて日本を追い込んでいく手法には憤りを覚える」と強い調子で批判した。

 今回の決定は、JAZA加盟の152施設の多数決による。民主的な手続きを踏んだとはいえ、イルカを飼育する水族館は4分の1にも満たない。希少動物の繁殖を行うには、WAZAの国際ネットワークに頼るほかない動物園の事情もあり、はなから結果は見えていた。

 追い込み漁は金属音でイルカの群れを湾内に駆り立て、捕獲する。反捕鯨団体のメンバーによって隠し撮りされ、6年前に公開された映画「ザ・コーヴ」が米アカデミー賞を獲得したこともあって、漁への批判が欧米で一気に高まった。

 読売は「日本独自の文化を全く顧みず、漁法のどのような面が残酷なのかを具体的に説明しない世界協会の一方的な姿勢は、極めて問題」と指摘する。だが、反捕鯨の国際論調は、残念ながら強まるばかりだ。

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