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消費者行動が変化した今、「AISAS」から「DUAL AISAS」へのモデルチェンジが起きている

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2015/06/01 08:00

 アタラ合同会社が運営するメディア「Unyoo.jp」から、コラムやキーパーソンへのインタビュー記事をピックアップして紹介する本連載。今回は、広告業界の共通言語である「AISAS」モデルを、時代に合わせて進化させた「DUAL AISAS」モデルについて解説するコラムの要約版です。

「AISAS」から「DUAL AISAS」へ

 「いまどき、AISAS(アイサス)とか言ってるヤツは、ちょっとうさん臭いよな」と、総合広告代理店を辞めて個人で独立したクリエイティブ・ディレクター(私よりも先輩)が、そう言い放った。あるクライアントへの提案・プレゼンを控えていて、ブレストを兼ねたキックオフミーティングに参加したときだ。

 クライアントの事業戦略の把握、マーケティング戦略への落とし込み、それに沿ったコミュニケーション戦略などをブレストしていた。私は、この先輩の「うさん臭いよな」という知った風な口ぶりにちょっとカチンときて、ついつい挑発的に、そして、冗談混じりに、反応して言った。

 「えっ、AISAS?最近は、DUAL AISAS(デュアル・アイサス)っていうんですよ」と、知らないんですか?先輩!って感じで、あえて上から目線で言ってみた。感じ悪いけど。そういって立ち上がり、ホワイトボードに向かってペンを持った。まず、「A」「I」「S」「A」「S」の文字を、私はタテに並べて書いた。そして、説明を始めた。

まずは「AISAS」モデルを復習しておこう

 広告業界で、電通の秋山隆平氏が提唱者だといわれているAISASモデルを知らない人はいないだろう。もし広告業界にいながら知らない人は、秋山隆平氏の著作『情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか』の179ページにAISASモデルについて記載されているので、きちんと確認して欲しいが、ここで、私なりに簡単に説明しておこう。

A(Attention):「注意」「注意喚起」「認知」
I(Interest):「興味」「関心」
S(Search):「検索」、GoogleやYahoo!などでの検索行為を指す
A(Action):「行動」、一般的にリアル店舗かネットかに関わらず、購入や資料請求などのコンバージョンのことを意味する
S(Share):「共有」、FacebookやTwitterなどSNSなどのシェアを意味する

 生活者の、態度変容モデル、心理変容モデル、あるいは、消費者行動モデルなどと呼ばれることがある。インターネットの登場で、SearchやShareが当たり前になった世の中において、このモデルは非常に有効なフレームワークだった。しかしながら、このモデルが提唱されてから10年ほど経った現在、少々綻びも出てきた。

 先ほどの先輩クリエイティブ・ディレクターも「ちょっと古くなってるよね」という批判を込めて発した言葉だろう。ただ、この秋山隆平氏のAISASモデルは本当に素晴らしいフレームワークだ。この大先輩の知見を活かしつつ、自分なりにいまどきの消費者行動モデルを構築していくことが大事なのではないかと感じている。そこで、このAISASモデルの使い勝手が悪くなった点について考えてみる。

Attentionの機能不全が起こっている

 まず、Attentionだが、テレビCMなどマス広告で大量リーチを獲得しようと狙っても、10年ほど前に比べて、その効率は悪くなってきているようだ。テレビの視聴率も低下傾向みたいだし、新聞や雑誌の発行部数や販売部数も落ち込みが激しくなってきた。

 さらに、「情報大爆発」という言葉通り、インターネットによって大量の情報が供給されるようになったので、マス広告で生活者にリーチできたとしても、注意を喚起することが難しくなってきた。ちょっとCMが面白いぐらいではすぐに忘却されてしまうらしい。そんな調査結果も出ていると最近、聞いた。

 要するに、マス広告の忘却曲線が昔よりも急勾配になっているのではないか、という話だ。もちろん、インターネットのバナー広告も同様だろう。情報供給量が大爆発している訳で、一つ一つの広告についてイチイチ覚えていられないのだ。つまり、Attentionの機能不全が起こっている。「Attention, Please!」といっても、大して振り向いてもらえないし、覚えてもらえないってことだ。

Shareの位置が、消費者行動の現実に即していない

 つぎに、Shareについても批判的な指摘をする人たちがいる。Shareって、コンバージョンするか、しないか、に関係なく、面白いとか思ったらするよね、と。つまり、Actionの次のステップとしてShareが来ているのが解せないという話だ。面白いなとか、すごいなとか、共感できるなとか、お役立ちだなとか、などなど、興味を持ったらすぐに友達にも教えてあげよう、ってことも多い。そうすると、Actionの次ではなくて、Interestの次のステップでShareってこともある。それが消費者行動の現実だ。

AISASの欠点を補う、新たな「DUAL AISAS」モデル

 そのような消費者行動の実態を反映し、そして、Attentionの機能不全という欠点を補うために利用されいてるモデルが「DUAL AISAS」モデルだ。

 「DUAL AISAS」モデルは、タテに並べた既存の「AISAS」の「A」(Attention)の上に、ヨコに「I」「S」「A」「S」と並べてできる。このヨコの「I」「S」「A」「S」も、(アイサス)と読めるので、「DUAL AISAS」と名付けられた。もちろん、大先輩である秋山隆平氏への敬意も込めている。

 ところで、ときどき、「有園さんのダブルアイサス理論でいうところの……」とか打ち合わせで言ってくれるクライアントがいるのだが(それはそれで嬉しいのだけれども)、ダブルではなくて「DUAL」なので、お間違いなく。ダブルだと二倍になっちゃう。別に、AISASを二倍にしているわけではないので。あくまでも「DUAL AISAS」、あるいは、「二重構造のAISAS」と呼びたいくらいだ。


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著者プロフィール

  • 有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

    アタラ合同会社 取締役COO。現在、アトリビューションマネージメントやDMP有効活用についてのコンサルティングを広告主や広告代理店に対して行っている。日本で唯一のアトリビューション最新情報サイト「Attribution.JP」及び、広告運用に関する最新情報サイト「Unyoo.jp」へのコラム投稿、企画、運用に携わり、業界への啓蒙活動も随時実施中。

    ■アトリビューションコンサルティングや勉強会を実施した(実施中含む)広告主業種名:
    自動車メーカー、飲料メーカー、化粧品メーカー、転職・人材紹介、旅行、家電EC、パソコンEC、住宅情報、住宅メーカー、美容サービス、携帯キャリア、通販、教育など

    ■アタラ合同会社以前の略歴
    オーバーチュア株式会社(2004~2007年在籍)では、大手クライアントのアカウント運用や大手広告代理店への営業などを担当。当時、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などマス広告への接触が、その内容に関連するキーワードでの検索を誘発するという仮説を立て、その検証を目的とした調査プロジェクトを大手広告代理店の協力を得て実施。GRP投下量と検索数の変化などの相関を分析・調査し、「○○で検索!」や「続きはウェブで!」といったGo-to-Web型の広告手法を確立。普及の一助となる。グーグル株式会社(2007~2009年在籍)では、アドバタイザー・ディベロップメント・チーム、シニアマネジャーやセールス・ストラテジー・アンド・プランニング・チーム、シニアマネジャーなどのポジションを歴任。広告主や広告代理店への営業戦略の立案と実施を主に行う。また、YouTube広告の拡販を支援する目的で、YouTube動画の広告効果を調査するプロジェクトを大手広告代理店の協力を得て行い、調査の企画、設計、実施を主導。アタラ合同会社に参画する直前まで、営業責任者としてAdMob株式会社の日本オフィスの立ち上げに参加(2009~2010年在籍)。次世代スマートフォンを使った広告を日本市場に浸透させることを目的に、広告代理店との契約や拡販体制の構築に従事。

    ■関連リンク
    ATARA合同会社「Attribution.JP」「Unyoo.jp」

    ■著書
    『アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法』
    『リスティング広告 プロの思考回路』
    『ザ・アドテクノロジー』

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