昨日書いた大学で放射性物質のトリチウムを管理区域外の実験室で使っていた事の続きです。
「放射性物質」とか「トリチウム」なんて活字で見ると、すごく恐ろしい物質のように思えた。しかし、それがどの様な物なのか具体的なことが新聞記事には書いていなかってので調べてみた。
関連したリンクや記事を下にピックアップしたが、要するに夜光塗料の材料みたいだ。そして、そんなに危険なものではないらしい。だから、管理区域以外で使われていたとしても、さほど大騒ぎする程のことも無さそうだ。むしろ、それを勝手に持ち出されて“汚い爆弾”の原料にされる事が恐ろしい。
ただ、この材料は“光り物”だから学生さんが光るオモチャを自作する目的で勝手に持ち出すことも十分考えられる。自分も下の記事を読んで、「もし手に入れば暗闇で光るアクセサリーを作ってみたい」と思ったりもした。
緊急被ばく医療情報ネットワークのトリチウムの解説ページには、次のように書かれていた。
◎ トリチウム[remnet.jp],
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原子核が陽子1個、中性子2個からなる水素の放射性同位体をいう。軽水や重水の中性子照射などにより生成される。半減期は12.3年である。弱いβ線を出してヘリウム3に変わる。原子炉内では、核分裂、冷却水中の重水素の中性子吸収、制御材であるホウ素(ボロン)の中性子反応などによって生成される。宇宙線によっても生成され、過去の水爆実験で発生したものもあるため自然界(水の中)にわずかであるが存在する。核融合炉の燃料として考えられている。
たぶん関係者なら判るけど、一般の者には判ったような、判らないような、何とも言えない解説である。
経済産業省の“原子力のページ”には次のように書いてある。
◎ Q26 液体廃棄物中のトリチウムは、人体に害はないのですか[atom.meti.go.jp],
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トリチウムは原子炉の中でもわずかながら生成されており、液体廃棄物にはトリチウムが含まれていますが、人体に害を及ぼすほどではありません。
100万キロワット級の原子力発電所を1年間運転して生じるトリチウムから一般公衆が受ける実効線量は、1年間に約10−8ミリシーベルトと推定されています。この線量は一般公衆の自然放射線から1年間に受ける線量(約2.4ミリシーベルト)に比べ無視できる量です。
トリチウムは水の構成元素である水素の放射性同位体で、半減期が12.3年であり、弱いベータ線のみを出し、薄いアルミ箔でその放射線は止まります。
トリチウムは自然界においても、高エネルギーの宇宙線と大気中の窒素や酸素が反応して絶えず生成されています。このようにして生成されたトリチウムの大部分は、直ちに水素及び酸素と結合して水となり、普通の水と同様に挙動しますので、体内に取り込まれても濃縮されずに排出されるため、放射性物質の中では危険性の少ないものの一つです。
まだこちらの方が先の説明よりも何となく分かり易い。要するに半減期が12.3年で、アルミ箔で覆うだけで遮蔽できる程度の弱い放射線を出す物質みたいだ。
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それでも、まだよく判らない。
そこでもう少し具体的なことを調べてみることにしたが、トリチウムは時計などで真っ暗なときでも文字盤を光らせるために使われていた材料らしい(現在は使われていない)。それに関連するページは次のところがあった。
◎ 徳永時計開発室 夜光時計[tokunaga.ne.jp],
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この夜光時計のページは分かり易く、かつ、詳しく書いてあるのでオススメ。
◎ 10年間発光するキーホルダーに入っているトリチウムの放射線は人体に影響を与えないのか 原子力なんでも相談室 (財)社会経済生産性本部[atomnavi.jp],
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Q:このあいだヤフーオークションを覗いていたら10年発光するキーホルダーといものが売っていました。内容を見てみるとトリチウムという物質らしいのですが体に害を与える何かの拍子に入れ物が壊れてもれたら危険であるとかそういうことはないのでしょうか。おしえてください
A:この10年発光するキーホルダーがどういうものか分かりませんが、時計をはじめいろいろな計器の文字盤や夜間の指示標識などには法規制値以下の放射性物質を加えた蛍光塗料が使用されています。闇の中で青緑に輝く時計の文字盤には放射性物質を添加した硫化亜鉛を主成分とした蛍光物質を含む蛍光塗料が使用されています。この蛍光塗料の中の蛍光物質が放射性物質から放出される放射線によって励起され、持続的に発光します。添加される放射性物質としてはエネルギーの低いベータ線しか出さないPm147(プロメチウム147)やH3(トリチウム)が使用されます。半減期はプロメチウムでは3年弱、トリチウムでは12年強ですから、10年発光するキーホルダーはご指摘のようにトリチウムが使用されていると思われます。プロメチウムからのベータ線はエネルギーが低いのでガラスカバーで十分遮へいできます。トリチウムからのベータ線はさらにエネルギーが低いので調理ラップも通過することができません。その上、放射性物質の量も法規制値以下の少量しか使用されていないので安全上の問題はありません。
なお、最近の国産の時計では放射性物質を含まない長残光性夜光塗料や電圧をかけると発光する材料を用いた時計に切り替わってきています。
上で「10年発光するキーホルダー」と書かれているのはトリチウムの半減期から来ている数字だろう。そして、たぶん下のURLの製品だと思う。
◎ Glowrings
Luminous night vision products[glowrings.com]
Glows for up to 10 years without batteries or recharging.
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