30日午後8時24分ごろ、小笠原諸島西方沖を震源とするマグニチュード(M)8・5の地震があり、東京都・小笠原諸島の母島と、神奈川県二宮町で震度5強を観測した。埼玉県の春日部、鴻巣両市、宮代町も震度5弱だった。震源の深さは約590キロ。津波はない。揺れは47都道府県で震度1以上が観測され、総務省消防庁によると10人以上がけがをした。
ビル設備管理会社「三菱ビルテクノサービス」によると、午後10時半までに、首都圏で約6000件のエレベーターが停止したとの情報が入った。また都心の交通は大きく乱れた。
小笠原村父島の釣り船「海賊」の谷川敏明船長(54)は自宅4階で大きな揺れを感じた。津波に備え、船を沖に出そうと港に行くと「船からネズミが逃げ出してきた」という。津波の心配はないとの報道を聞いたものの「もう1度地震が来るかもしれないので、船を沖出して様子を見る」と話した。
母島のペンション「ドルフィン」経営の築舘俊一さん(66)は「すごい揺れで女房は驚いて外に逃げ出してしまった」と話した。宿泊客が8人おり、全員を高台へと避難させたという。父島の旅館経営者の女性(62)は「宿泊予約のキャンセルなど、影響がなければいいけど」と話した。
気象庁は緊急地震速報を発表しなかった。「震源が深い地震では、正確な震度の予測が困難なため発表していない」と説明した。