韓国:MERS感染拡大、保健福祉相が謝罪
毎日新聞 2015年05月31日 20時33分(最終更新 06月01日 00時55分)
【ソウル米村耕一】中東を中心に流行する中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が家族や医療関係者まで拡大した問題で、韓国の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)保健福祉相は31日、「(MERSの)感染力に関する判断が不十分で、国民に不安を与えた」と謝罪した。
韓国では5月20日に初めて感染が確認されて以降、同月末までに15人の感染が確認されている。
韓国紙などによると、4〜5月にサウジアラビアなどを訪れた韓国人男性(68)が韓国に帰国後に発症。数カ所の病院で診療を受けた後に感染が確認された。その後、10日あまりの間に男性の家族や診療した医療関係者、さらには同じ病棟の患者へと感染が広がったため保健当局の対応に批判が集まっていた。
また、病室を見舞っていた感染者の家族の男性会社員(44)が、5月26日に出張のため飛行機で香港、さらにバスで中国・広東省へと移動し、中国国内で感染が確認された。このケースでは「韓国の防疫システムに、国際社会が刺すような視線を向けている」(31日付中央日報社説)などと特に非難が高まっていた。香港の保健当局は男性会社員と同じ便に乗り、接触があったとみられる18人の隔離措置を取った。
世界保健機関(WHO)によると、MERSの感染者はこれまでに1100人以上が確認され、約430人の死亡が報告されている。ただ、韓国での発症者に死亡例は出ていない。