医療保険制度改革の関連法が成立した。本年度から幅広い世代の負担を見直すほか、来年度には入院時の食費を引き上げ、紹介状なしで大病院を受診した場合には追加負担を求める。
政府は高齢化などで医療費が膨らみ続ける中、制度を持続させるために必要な措置としている。
制度を存続させるためには仕方ない面はある。だが、高齢化が進む一方で現役世代は減少しており、国民の負担増や給付カットで制度を持続させることには限界がある。
医療費は年約40兆円に上る。年々増え続ける医療費を抑制しなければ、制度持続は危うい。
医療費抑制には国民の理解と協力が不可欠である。必要性がないにもかかわらず受診を繰り返す人への有効な対処が求められる。
在宅患者の飲み忘れなどで無駄になっている薬剤費は、年間約500億円にも上るといわれる。2012年度の診療報酬改定で薬剤師による「残薬の確認」が新たな算定要件として盛り込まれたが、有効に機能しているとは言い難い。
必要な人に必要な医療を提供することを前提にした上で、医療をめぐる無駄を省くことに政府は本腰を入れて取り組むべきだ。
関連法では個人や自治体、健康保険組合などに予防や健康づくりを促し、それに取り組めば、商品と交換できるポイントや現金支給、保険料の軽減も盛り込んだ。「医者いらず」の人を増やすことを後押しすることは評価できる。
ただ、その取り組みは必要な受診を控えることを招く可能性もある。「現金目当てで必要な受診をせずに重症化して、かえって医療費がかかる事態も起きかねない」(村上正泰山形大大学院教授)との指摘もある。留意が必要だ。
改革法とは別に75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の特例的な軽減措置が廃止され、保険料は17年度から段階的に引き上げられる。
低所得者を中心に加入者の半数に当たる約865万人の負担が増える。年金収入が年80万円以下の単身世帯は、現在の月額370円が1120円と約3倍になる。
年金受給額が増えるなら理解も得られようが、年金は目減りする時代である。法律を盾に高齢者に重い負担を課すことは酷過ぎる。
法律通りの保険料に戻すということではあるが、再考すべきだ。
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