【電動1輪車がいよいよ発売へ】バイクのような操縦性を楽しめる国産「電動1輪車」が登場!

佐川健太郎 | モーターサイクルジャーナリスト

電動1輪バイク「ONEWHEEL i-1」

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またひとつ、ユニークな乗り物が出現した。滋賀県にある国産メーカー、(株)シムスインターナショナル(組織名:ワンホイール運営事務局)が開発する電動1輪バイク「ONEWHEEL(ワンホイール) i-1」である。電動1輪車では米国の「RINO(ライノ)」が有名だが、実はそのコンセプト自体はワンホイールi-1のほうが先であり、すでに10年前から開発に着手していたという。

1輪ということは当然、自立するためには何らかの姿勢制御装置が必要になる。大雑把な言い方をすれば4輪は止まっていても自律しているし、2輪もある程度の速度に達していればセルフステアによってバランス走行できる。ただ、これが1輪だと速度を上げても単体では自立を制御するのは非常に難しい。

そのため、すでにいくつか存在する1輪や2輪(「セグウェイ」のような)の自立型の乗り物ではジャイロモーターを搭載しているのが一般的だ。ジャイロとは地球ゴマと同じ原理で、高速で錘を回転させることで安定を保つ仕組みになっている。

ところが、従来の「オートバランス式重心移動型のジャイロ搭載車」(というらしい)の場合、停止時や発進時、または上り坂や下り坂での重心移動ミスによる転倒などの課題があった。そこで、ワンホイールi-1では、ジャイロ変位アクセル&ブレーキテクノロジーなどによって、これらの問題をすべて解決したという。

たとえば、座りながら重心移動による操作も可能ですが、独立した手動操作によって「ハンドルで曲がる」、「ブレーキで止まる」、「アクセルで進む」などバイクのような操作が可能になっている。これは世界初の特許技術ということだ。

映像を見てみると、たしかに重心移動をせずにハンドルを切って旋回したり、右手側のアクセル操作だけで自然に軽く前傾姿勢となって加速したり、左手のブレーキレバー操作で車体がやや後傾しつつ減速している様子が分かる。つまり、通常の2輪のバイクと同じように、ライダーが積極的に操る楽しさも持ち合わせているということだ。

気になるスペックだが、車両総重量20kg以下で取り外し式のボトル型リチウムバッテリーパックを搭載。1回のフル充電で最大約15~30km移動(予備バッテリーパックにより45~60kmの連続走行も可能)で最高速度は約20km/h。12VのシガーソケットとUSB電源を標準装備し、価格は248,000円(税込送料込)となっている。同じオートバランス式コミューターの「セグウェイ」や「ライノ」に比べると、かなり軽量コンパクトで携帯性にも優れ、なにしろ価格が安い点が魅力的に見える。ちなみにホンダが実証実験を行っている屋内型パーソナルモビリティー「UNI-CUB(ユニカブ)」は最高速度6km/h、重量25kg)である。

また、近い将来には60~100km/hでの加速運転姿勢制御や高速域からの急ブレーキ姿勢制御が理論上容易に可能となるというから楽しみである。なお、販売についてはまず企業向けなどにテストモニター用として計200台程度の国内限定生産販売を2015年夏頃から開始予定とのこと。次に出てくるであろう市販モデルに、ぜひ注目していきたい。

出典:Webikeバイクニュース

佐川健太郎

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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