新潟水俣病:50年式典、環境省や原因企業も一堂に

毎日新聞 2015年05月31日 19時58分

 四大公害病の一つ、新潟水俣病が公式に確認されてから50年を迎えた31日、新潟市内で記念式典があった。環境省や新潟県、患者団体、原因企業の昭和電工が初めて一堂に会し、悲惨な公害を二度と繰り返さないことを誓い合った。

 式典には約300人が出席。「新潟水俣病被害者の会」の小武節子会長(78)は「被害者にとって、この50年は一日たりとも体と心が休まる日はなかった」と振り返った。差別などを恐れて名乗り出られない「潜在患者」がいることを指摘し、「全被害者を救済してほしい」と訴えた。

 望月義夫環境相は「発生を防げなかった歴史的事実を重く受け止め、教訓を国内外に発信する」と述べた。ただ、謝罪や国の責任には言及しなかった。昭和電工の高橋恭平会長は「患者、遺族に対し、心よりおわび申し上げたい」と改めて謝罪した。

 新潟水俣病は新潟県北部の阿賀野川の流域で発生。上流の昭和電工鹿瀬(かのせ)工場の排水が原因で、メチル水銀に汚染された魚介類を食べた住民が発症した。「第2水俣病」とも呼ばれ、約2500人が患者認定を申請したが、認定は702人。損害賠償などを求める訴訟が続いている。【真野敏幸】

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