東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

FIFA汚職 遅すぎたレッドカード

 国際サッカー連盟(FIFA)の幹部による汚職問題はその期間、規模の大きさに言葉を失う。速やかに全容を解明し、根本的に組織を改革、大きく失墜した信用を取り戻してほしい。

 米司法省が摘発したFIFAの汚職はサッカー試合の放映権にからみ金銭を受け取ったとして、副会長二人を含む十四人が起訴された。不正な金銭の授受は過去二十四年間に及び、賄賂などの総額は一億五千万ドル(約百八十五億円)になるという。

 二〇一〇年のワールドカップ(W杯)南アフリカ開催にからんでも多額の金銭が動いたとみられる。FIFA本部があるスイスの当局も捜査に乗り出した。開催地の決定では、一八年のロシア大会、二二年のカタール大会での不正も捜査対象になった。会長選でも金銭のやりとりがあったという。こうなると、FIFAの決定は全て金がものをいう、とみられても仕方がない。

 一連の問題に対するブラッター会長の対応には首をかしげざるを得ない。

 欧州サッカー連盟(UEFA)からの辞任要求も拒否、「全員をずっと監視できない」と、自らの責任を回避。「当局の調べはこれまで取り組んできた不正撲滅を加速させる」と今後も内部での改革を強調している。しかし、彼に責任がないと思う人間はいない。これまで、この金権体質を継続させてきた責任は重い。

 世界中で失墜したサッカー界の信用は現体制で回復するとは思えない。二十五人の理事で放映権、W杯開催地などを決定するシステムの透明性は以前から疑われていた。内部では金を受け取ることへの罪悪感はなく、当然と、受け取られていたのだろう。

 組織内に自浄作用がないから、司法当局の手が入った。危機意識を持ち、根本的に組織の在り方を変えないとだれもが納得しまい。

 FIFAの理事などでは日本人の清廉さは評判だという。組織の出直しに当たっては、日本のサッカー界も率先して声を上げてほしい。

 事件の背景には、国際スポーツ界でのテレビ放映権などによる巨額の収入がある。FIFAの収入は一四年で二千五百八十億円に上っている。

 サッカーに限らず、あらゆるスポーツで不透明な金の流れなどをあらためて調査してほしい。世界中の子どもたちに夢を与えるスポーツ界での不正は絶対に撲滅してほしい。

 

この記事を印刷する

PR情報