鹿児島県・口永良部島(くちのえらぶじま)の新岳(しんだけ)が二十九日午前、噴火した。御嶽山(長野、岐阜県)や箱根山(神奈川県)など、日本列島では火山活動が活発化している。南の島から学ぶべきことは多い。
口永良部島で二十九日、爆発的な噴火が起き、火砕流も発生した。噴煙は九千メートルまで上がり、航空機への影響が心配されるほどだ。地下のマグマが噴出したマグマ噴火の可能性が高い。長期化し、規模が拡大する恐れがある。
同島は水深六〇〇メートルほどの海底からそそり立つ火山の、五合目から上が海面に出ているような島だ。「全島避難」も仕方がない。
早くから気象庁や京大などが観測を続け、噴火警戒レベルは3(入山規制)だった。4(避難準備)への引き上げも検討されていたという。火山の動きをかなり正確につかんでいたといえる。
噴火後、住民は迅速に避難している。午後には全島民がフェリーで島を離れた。けがをした人はいるが、犠牲者を出さずにすんだ。しっかりした避難場所があったことなどが役立ったのだろう。
新岳の噴火の歴史をみると、一九三一年から三五年、六六年から八〇年に活動が活発だった。死傷者が出たこともある。火山は災害だけでなく、温泉などの恵みもある。繰り返し起きる噴火を上回る魅力が島にはあるようだ。国や自治体は、避難した住民が安全に帰還できる日まで、十分な対応をしてほしい。
御嶽山が昨年秋、水蒸気爆発してから噴火のニュースが多くなった。東日本大震災後、火山活動が活発化したと警告する専門家もいる。噴火予知は、御嶽山のような水蒸気爆発は難しいが、今回のようなマグマが関与する噴火ではかなり信頼できる。
噴火から学ぶことは多い。(1)火山情報に敏感になる(2)安全な避難場所や避難路を知る(3)非常用の持ち出し袋などを用意する(4)緊急時、家族や職場などとの連絡方法を確認する−などだ。
一方、観測を強化しても、直前予知や規模の把握は難しいことをあらためて知った。同じ鹿児島県で、九州電力の川内原発の再稼働が近い。原子力規制委員会で再稼働が認められたのは、九州電力が大規模噴火を何年も前に察知できると主張したからだった。
自然の力の前では、人間はもっと謙虚でなければならない。これも川内原発から百五十キロ離れた火山から学ぶべきことだ。
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