シェイクシャック(ティッカーシンボル:SHAK)の株が「高い、高い!」と批判されながら、どっこい堅調です。

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先週金曜日は+8.95%の82.81ドルで引けています。これは時価総額で29.9億ドルです。

シェイクシャックは2016年のコンセンサスEPSが15¢なので、株価収益率(PER)で552倍で取引されている計算になります。またPERを成長率で割算したPEGレシオでも19.5倍です。普通、PEGレシオは1前後が好ましいので、PEGレシオの19.5倍というのはベラボーなバリュエーションです。

ところでシェイクシャックのライバルで、カリフォルニアを中心としたハンバーガー・チェーン、ハビット・レストランツ(ティッカーシンボル:HABT)は時価総額4.6億ドル、2016年のコンセンサスEPS28¢で計算したPERは125倍、PEGレシオは6.45倍となっています。

同じハンバーガー・チェーンで、大体、似たり寄ったりの売上規模なのにシェイクシャックの方が3倍以上も高いバリュエーションで取引されているわけです。

因みに売上規模はハビットの方が大きいです。

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2016年にかけての売上成長率もハビットの方が高いです。

EPSで見てもハビットの方が大きいです。

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すると売上規模、EPS、成長率の面でハビットの方が勝っているのに、なぜウォール街からの評価はシェイクシャックの方が高いのだ? という素朴な疑問が湧くわけです。




僕の考えでは、それはシェイクシャックの持つカルト的な人気が原因だと思います。

シェイクシャックは2001年にニューヨーク市がそれまで荒んでいたマンハッタン23丁目のマジソンスクエア・パークを再開発する際、地元の高級レストラン・グループ、ユニオンスクエア・ホスピタリティ・グループにホットドッグ・スタンドを公園内で営業して良いという許可を出したのが始まりです。そのホットドッグ・スタンドが好評で、それまで避けられていた公園に市民が戻ってきたのです。

これを見たニューヨーク市はユニオンスクエア・ホスピタリティ・グループに「恒久的なキオスクを設置して良い」という許可を出します。これがシェイクシャックになるわけです。

それまでドラッグ・ディーラーなどが徘徊し、夜は怖い処だったマジソンスクエア・パークは、一転して市民の憩いの場となり、シェイクシャックは「磁石」のような存在になります。これをきっかけにマジソンスクエア・パーク周辺の街並みは一変して、いまマンハッタンでいちばん清潔で、パワフルなブランドが続々と出店するお洒落な地区になっています。

この地区は南北戦争の終った1860年代後半から第一次大戦前の1914年頃までは「レディーズ・マイル」という名前でニューヨーク屈指のショッピング・エリアでした。しかしメイシーズが1902年に34丁目に出店、ロード&テーラーが1914年に38丁目に移転するなどして「レディーズ・マイル」は廃れたのです。

つまりシェイクシャックは100年近く忘れられていた「レディーズ・マイル」復活に貢献したのです。

こんにちマジソンスクエア・パーク南端のフラットアイアン・ビルディングには米国東海岸屈指のベンチャー・キャピタル、ユニオンスクエア・ベンチャーズの本社があります。

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(出典:ウィキペディア)

そして東側は旧メトロポリタンライフ・タワーがニューヨーク・エディション・ホテルというお洒落なブティック・ホテルに生まれ変わっています。

Metropolitan_Life_Tower_April_2008
(出典:ウィキペディア)

その北側(写真左の低い方のビル)は投資銀行クレディスイスの北米HQです。

つまりシェイクシャックはウォール街関係者のお膝元に位置しており、その人気や地域を活性化させるチカラは投資関係者にも知れ渡っているということです。