記事詳細
【靖国考(上)2】
「中国が反発、わが国も…」 韓国「歴史カード」便乗
首相は15日に参拝しない方針だが、それでは秋に参拝した場合、米国はどう出るだろうか。外務省幹部はこうみる。
「米政府の公式な声明で批判することはしないだろうが、内々にはかなり厳しい反応をすると思う」
これでは、首相の目指す「日米同盟の強化」による中国への牽制(けんせい)や、拉致問題解決のための北朝鮮包囲網にもほころびが生じる。首相周辺は「参拝までに、米国を納得させなければならない」と強調する。
「筋違い」米に説明
実際、日本政府高官は今春訪米し、米政府高官らに首相の歴史に関する考え方を説明して回った。靖国参拝に関しては「中国の言う軍国主義化など全くない」と述べた。韓国の反発については、こんなやりとりがあったという。
日本政府高官「そもそも日本は韓国と戦争をしていない。戦没者をまつる靖国への参拝に関し彼らに文句を言われる筋合いはない」
米政府高官「初めて聞いた。そうだったのか…」
韓国は今でこそ「日本政府、政界や指導者の靖国参拝はあってはならない。韓国政府の立場は明確だ」(5日の趙泰永外務省報道官の記者会見)との見解を示している。だが、韓国政府が靖国問題を強く主張しだしたのは最近のことだ。
「ハイレベルで靖国参拝に批判の声を上げだしたころ、韓国政府当局者に『直接関係ないだろう。なぜなんだ』と理由を聞くと『中国が反発しているのでわが国も何か言わなきゃ…』ということだった」と、外務省幹部は振り返る。