2015年5月31日01時54分
小笠原諸島西方沖を震源とした強い地震は近くの島も、800~900キロ離れた都心も激しく揺らした。週末の夜を楽しむ人たちでにぎわうタワーやビルでは長周期地震動でエレベーターが停止し、人々が高層階に足止めされた。鉄道も止まり、首都圏は混乱した。
高さ約350メートル。東京都在住の高橋裕(ひろし)さん(35)は家族と東京スカイツリー(東京都墨田区)の展望デッキにいた。下りエレベーターに乗ろうと並んでいたところ、揺れが始まり、徐々に激しくなった。その間、20~30秒。「かなり踏ん張らないと立っていられないような揺れだった」
六本木ヒルズ森タワー(東京都港区)では、エレベーターが約2時間止まり、52階で開かれていた「スターウォーズ展」の客らが一時取り残された。東京都府中市の主婦、斎藤わかささん(40)は非常階段で下りられないか尋ねたが「各階の状況がわからず、避難誘導ができない」と言われたという。三鷹市の男性(42)は、屋上展望台の妻や子ども3人と一時離ればなれになった。電話をかけてもつながらない。「係員は『復旧までお待ち下さい』と繰り返すばかり。いらだった」と話した。
横浜・みなとみらい地区のランドマークタワーでも一時、160人が69階の展望フロアに取り残された。
三菱電機ビルテクノサービス(東京)によると、関東の1都6県で約6千台のエレベーターが自動停止した。中央エレベーター工業(東京)では緊急停止を知らせる警報音が鳴り響き、北区や足立区など約40カ所での異常がモニターに表示された。作業員を派遣して復旧に当たったという。
都内に林立する高層マンションも揺れに襲われた。江東区のマンションの41階に住む男性会社員はテレビでサッカー観戦をしていた。軽い揺れの後、大きな揺れがきた。サッシの鍵が勝手に外れた。「船に乗っているようだった。このままマンションが倒れるんじゃないかと怖かった」
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