防衛相:南シナ海埋め立て中国けん制 老子引用も
毎日新聞 2015年05月30日 12時35分(最終更新 05月30日 13時48分)
カーター米国防長官は30日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議で演説し、南シナ海で岩礁埋め立てを進める中国を名指しで非難した。日本の中谷元防衛相も「我が国を含め周辺諸国はこうした状況に不安を抱いている」と日米が歩調を合わせて中国への圧力を強めた。
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【シンガポール飼手勇介】「足るを知れば辱められず、止(とど)まるを知れば殆(あや)うからず」
中谷防衛相は、老子を「中国の偉大な思想家」と紹介しながら引用し、「今こそ耳を傾けるに値する」と中国をけん制した。
中谷氏は講演で「南シナ海で大規模な埋め立てや、港湾・滑走路の建設が急速に進められている」と指摘した後で、「中国を含む各国が責任ある立場で振る舞うことを期待する」と中国を名指しした。一方で「問題があるからこそ話し合わなければならない。対話の扉は常にオープンだ」とも語った。
会合参加国に対しては、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の海洋監視能力向上や、軍同士の偶発的衝突を防ぐ「海と空での共通ルール」の普及、災害対処能力の向上の3点による「シャングリラ・ダイアログ・イニシアチブ」(SDI)を提唱。昨年中国を含む21カ国が合意した洋上での「行動基準」に基づく共同訓練を推進する考えを示した。
日本に関しては「先の大戦の痛切な反省を胸に歩んできた。アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目を背けていない」とし、安全保障関連法案について「世界の平和と安定に貢献する取り組み」と説明。「専守防衛など平和国家のフィロソフィーはみじんも揺らいでいない」と強調した。