日米豪防衛相:中国を名指しで批判「深刻な懸念」
毎日新聞 2015年05月30日 22時14分(最終更新 05月30日 23時22分)
【シンガポール飼手勇介】シンガポール訪問中の中谷元防衛相は30日、米国のカーター国防長官、オーストラリアのアンドリュース国防相と日米豪防衛相会談を行い、南シナ海で岩礁埋め立てを進める中国を名指しし「深刻な懸念」を表明する共同声明を発表した。東南アジア諸国に対する海上安全保障分野での協力を強化していく方針も確認した。
共同声明は「東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更に対し強く反対する」とし、「南シナ海における中国による埋め立てに対する深刻な懸念を表明した」と明記した。
一方で、南シナ海での領有権を巡って中国と対立するベトナムやフィリピンなども念頭に「南シナ海において領有権を主張するすべての当事者に対し、自制し、埋め立て活動を中止し、挑発的な行動を控えるように促す」ことも確認した。
中谷氏は会談後、記者団に、中国による岩礁埋め立てについて「中国も大国にふさわしい立場でやらないと地域の安定を崩すことになる」と語った。
中谷氏は日米豪防衛相会談に先立ち、カーター長官とも個別に会談した。中国の海洋進出を念頭に、力を背景とした現状変更の試みに反対する方針を確認。中谷氏は、ハワイで17日に起きた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの着陸事故についての情報提供を求めた。
両氏はまた、サイバー攻撃に対する日米協力の共同文書を発表し、両国のいずれかが攻撃を受けるなど「重要な事案」が発生した場合は「緊密に協議し、適切な協力行動をとる」ことを確認した。