維新が復活する日
『週刊現代』古賀茂明「官々愕々」より

5月17日に行われた大阪都構想の賛否を問う住民投票。久々の政治ドラマに国中が沸きかえった。
では、大騒動後の政治ドラマ「第二幕」はどうなるのだろうか。

都構想が否定されて、主役であった橋下徹氏は12月までの大阪市長の任期満了後に政治家を辞めると宣言した。
しかし、今回の住民投票は、皮肉にも負けた橋下氏の実力の大きさを見せつけたと言って良い。
良くも悪くも、「橋下だからできた住民投票。橋下だから負けた住民投票」ということに尽きる。

橋下氏を失って、しばらくすれば、どうしようもない焦燥感が大阪を覆うことになるだろう。なぜなら、橋下氏のような人物抜きで、大阪を大きく変えることなどとてもできないからだ。
それは、日本中どこでも同じことである。

目前に迫った高齢化コスト大爆発への対応に目途が立っている自治体など皆無と言って良い。そういう普通の自治体の仲間入りをした大阪には、茨の道が待っている。

他方、国政では、橋下氏が住民投票で敗れたことは、安倍政権には打撃で、民主党には追い風という解説が多いが、そう単純でもない。
確かに、安保法制の国会審議はもちろん、来年以降の憲法改正で維新と連携して参議院の3分の2を制したいと考えていた安倍政権にとっては直接的には痛手だ。

しかし、元民主党の松野頼久氏が維新の代表についたから、維新の路線が橋下氏時代の自民寄りの色が消えて、民主寄りになるという民主党の期待はどうだろうか。これで、民主党主導の野党再編気運が高まるというのだが、それはあまりに楽観的である。
なぜならば、先の統一地方選では、国民は民主党に期待していないことが極めてはっきりしたからだ。

維新の力が落ちたからといって、どうして国民が民主党に期待するのだろうか。むしろ、浮かれる民主党を見て、ますます白けてしまうだろう。
とりわけ、これから議論される安保法制について、民主党の立ち位置は極めて曖昧だ。

安倍政権の下では集団的自衛権にも改憲にも反対というが、裏を返せば、他の政権ならいずれも認めたいという党内タカ派の声が透けて見える。そんないい加減な政策を掲げていては、民主党への国民の不信感が払拭されるはずがない。

一方、解体説も囁かれる維新に復活の芽はないのか。起死回生の一策があるとすれば、リベラル色を強め、タカ派的議員を離党させることだろう。

大阪以外では、実は、橋下氏が「怖い」とか「嫌い」という女性は非常に多い。
橋下氏が抜けたことでリベラルな維新が出現すれば、「改革はするが戦争はしない」という政党を探して漂流していた無党派層が、一気に維新に流れる可能性がある。

維新復活があるとしたら大胆なリベラル化路線しかない。維新の議員はそれに気づくだろうか。

『週刊現代』2015年6月1日号より

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