偽物売って金儲け。韓国コスダック市場を牽引していた同国の健康関連企業をめぐり大事件が起きた。主力商品の生薬が偽物だったことが発覚して株価が暴落。これが引き金となりコスダックが急落し、一時、市場の時価総額約1兆円が吹っ飛んだのだ。偽生薬には毒性があるとも指摘され、消費者の怒りは連鎖爆発、矛先は朴槿恵(パク・クネ)政権にも向かう。朝鮮ニンジンに代表される生薬大国の騒然ぶりをノンフィクションライター、高月靖氏がリポートする。
今年に入って好況に湧いていた韓国の新興企業向け株式市場コスダック。時価総額に基づくコスダック指数は7年ぶりに最高値を連続更新したが、それが暴落したのが4月22日。同月末までに市場の時価総額から8兆5000億ウォン(約9435億円)が消えた。
現在は買い戻しが入り回復してはいるものの、この引き金となったのがナチュラルエンドテック社。2013年上場の製薬・健康機能食品メーカーだ。
同社上場の原動力は、朝鮮半島に自生するガガイモ科の植物を加工した天然生薬「白首烏(はくしゅう)」。11年ごろから「更年期障害に効果あり」と宣伝され、その抽出成分を使った健康機能食品が大ブームとなっていた。同社はこの勢いに乗って他の健康食品メーカーに白首烏の抽出成分を提供し、上場1年半でコスダック市場の時価総額ランク8位に躍進。白首烏製品全体の市場規模も、3000億ウォン(約333億円、14年)に急拡大した。