オスプレイ横田配備:「困惑」「宿命」住民揺れ

毎日新聞 2015年05月11日 22時06分(最終更新 05月11日 22時31分)

横田基地の場所
横田基地の場所

 米軍垂直離着陸輸送機オスプレイの本土初の配備先は、米軍横田基地(東京都福生市など)になった。開発段階から重大事故が続き、海兵隊が使用する「MV22」が配備された沖縄では今も根強い反発がある。横田基地には空軍が特殊作戦機として使う「CV22」が配備される予定で、騒音に悩まされてきた基地周辺住民に困惑と反発が渦巻いた。

 「突然で驚いている」。米軍機の飛行ルート下にある東京都瑞穂(みずほ)町箱根ケ崎地区に住む榎本松男さん(64)は憤りを隠さなかった。沖縄県で起きる米軍機事故は人ごとではない。「沖縄の事故のニュースなどを聞くと怖い。配備には反対だ」

 農業を営む豊田イツさん(80)も「飛んでいる米軍機を物干しざおでつつきたくなるくらいの騒音なのに」とこぼした。

 「横田基地の撤去を求める西多摩の会」の高橋美枝子代表はCV22の事故率の高さを懸念する。2012年の防衛省の資料によると、MV22の事故率(10万飛行時間当たりの事故件数)は1.93。これに対しCV22は13.47と高い。高橋代表は「空軍仕様のCV22は特殊作戦機で、山や谷の地形に沿った低空飛行訓練も予想される。海兵隊のMV22より事故率が高く、日常的に高い危険性にさらされる」と話した。更に「横田配備によって東日本を中心に全国でオスプレイの訓練ができるようになる。住宅密集地の横田配備はとんでもない」と批判した。

 一方「予想していたこと」と冷静に受け止める住民も。基地近くで日用品店を営む冨田勝也さん(70)は「基地の町としては決定は受け入れるのが宿命。災害などの人道支援にもなるべく利用してほしい」と話した。

 横田基地は東京都西部の福生▽武蔵村山▽羽村▽立川▽昭島−−5市と瑞穂町にまたがり、総面積は約7平方キロ。3350メートルの滑走路がある。5市1町には12日、防衛省と外務省の担当者が説明に訪れる予定。【柴田朗、賀川智子、町田徳丈】

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