シベリア抑留:「ソ連領外でも」 成蹊大名誉教授が講演

毎日新聞 2015年05月11日 20時07分

 第二次大戦後に旧日本軍人・軍属らが旧ソ連各地に連行され、労働を強いられた「シベリア抑留」について、富田武・成蹊大名誉教授(日ソ関係史)が11日、日本記者クラブで講演し「(終戦時に旧ソ連領外だった)南樺太(サハリン)や北朝鮮などでも、民間人を含めた抑留の実態がある」と述べた。旧ソ連・モンゴルに約60万人が抑留され、約6万人が死亡したと捉えられてきたが、富田氏ははるかに上回る規模になるとしている。

 富田氏によると、南樺太の場合、軍人・軍属約1万3000人のほか、民間人約29万人がとどめ置かれたことが北海道庁の1950年代の資料に残っているという。収容所はほとんど無かったものの、旧ソ連の管理下で労働に従事したといい、死者も4000人規模で出たとみられる。

 富田氏は「旧ソ連が管理していた南樺太、千島列島、北朝鮮、中国の旅順・大連地区の抑留研究に本腰を入れるべきだ」と話した。【青島顕】

最新写真特集