地震保険料:3割上げ、業界検討…「首都直下」確率反映

毎日新聞 2015年05月04日 07時30分

住宅向け地震保険料の主な改定
住宅向け地震保険料の主な改定

 住宅向けの地震保険料を決める損害保険業界の団体が、政府による首都直下地震の発生確率予測が大幅に上昇したことを受けて、保険料を全国平均で約30%引き上げる必要があるとの試算をまとめたことが分かった。これまで上げ幅が最大だったのは、東日本大震災を踏まえて損保各社が2014年7月に実施した15.5%。今回は約2倍に上り、契約者の負担が大きいことから、損保業界と保険料を認可する金融庁は数年かけて段階的に上げ、最終的に30%程度にする方向で検討している。年内にも方針をまとめ、早ければ来年から実施したい意向だ。【朝日弘行】

 試算したのは損害保険料率算出機構。地震保険料は、政府の発生確率予測をもとに機構が計算し、金融庁の認可を得て決める。

 政府の地震調査委員会は14年末、30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率について、関東地方を中心に引き上げ、東京都新宿区46%(13年末26%)▽さいたま市51%(同30%)▽横浜市78%(同66%)▽千葉市73%(同67%)−−とした。これを受け機構が必要な保険料の検討を進めていた。

 大手損保によると、都内のマンションに住む人の地震保険は、補償上限が1000万円で契約1年の場合、現行の保険料は約2万円(14年7月の値上げ分含む)だが、30%引き上げられると、値上げ幅は約6000円になる計算だ。既に加入している人も契約更新時に値上げが適用される。

 ただ、保険料は住んでいる都道府県や住宅の構造によって異なる。地震の発生確率が高い地域は上げ幅が30%を超える可能性がある一方、住宅の耐震性能が優れていれば30%を下回る可能性もある。首都圏以外の地震保険加入者も相互扶助の観点から一定の値上げの対象となる見通し。

 東日本大震災の保険金支払額が約1.2兆円(12年4月時点)だったのに対し、首都直下地震での保険金支払額は最大3.1兆円に達する見込み。だが、保険料を一気に30%上げると、契約者離れにつながりかねない。契約者の負担の急激な増加を避けるため、機構と金融庁は引き上げる期間や段階をどのくらいとするかなど具体的な実施方法を検討する考えだ。

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