5月26日放送
野菜を3倍食べよう 街の健康作戦
【350グラム】これは、国が定めた一日にとることが望ましい野菜の摂取量。生活習慣病を予防するために必要とされています。しかし、実際に食べている量は、最新の全国平均では283グラムでした。さらに、この平均値を大きく下回る市が埼玉県にあります。市民に野菜を食べてもらおうと、市を挙げての取り組みが始まっています。
埼玉県飯能市で開かれたウォーキング大会。
「はい、お待ちどう様」
歩き終えた参加者たちにふるまわれていたのは、水ではなく、野菜をすり潰した『スムージー』。
地元で採れた小松菜などの野菜に果物を加え、飲みやすいよう工夫しました。
参加者からは「青っぽくない」 「飲みやすい」 「これで(野菜を)たくさんとれる」といった声が聞かれました。
今、飯能市では『野菜を3倍食べよう』と、まちを挙げて取り組んでいます。
そのきっかけは、2011年に、飯能市民が野菜をどのくらい食べているかを市が独自に調査したことでした。
結果は、一日平均182グラム。国が薦める1日350グラムの目標を大きく下回っていたのです。
また、脳梗塞や脳内出血で病院を受診した人の割合は、埼玉県内の平均の1.5倍というデータも明らかになりました。
生活習慣病を予防し、医療費の支出を抑えるために、日ごろから野菜を食べ健康を維持することが欠かせないと考えたのです。
飯能市 健康政策課の課長、竹井伸次さんは「健康寿命を延ばすためには、野菜摂取量を増やすことが非常に大切なこと。市民の皆さんの参加によって、いろんなプロジェクトの中で進めていきたい」と話していました。
そこで、飯能市では、市内の飲食店に “野菜をたっぷり使った新しいメニュー” の開発を呼びかけました。応じたのは24店舗にのぼります。
「お待ちどうさまでした。ロールキャベツです」
こちらのお店では、看板メニューの【ロールキャベツ】に、10種類の温野菜を添えました。これで野菜は150グラムとれます。
変わってこちらは、【ハンバーグ】。
かぼちゃやなすなど、6種類の野菜を、ハンバーグが隠れて見えないほどたっぷり添えました。野菜は、200グラムです。
野菜メニューの開発に、それぞれの店が試行錯誤を続けています。
そば屋の店主、矢代和久さんは、地元商工会のリーダーとして『自分も挑戦したい』と考えました。
まず矢代さんは、つゆに茹でた野菜を入れようと考えました。
しかし、野菜から出る水分で、つゆが薄まりおいしくありませんでした。
続いて考えたのが、天ぷら。
衣で包んで水分が出ないように考えましたが・・・
「どう見てもカロリーオーバーの油たっぷり状態になる」
かえって健康に良くないと、これも断念しました。
そこで発想をかえ、考えたのが【つけ麺】。
茹でた野菜を別に盛って、付けだれにつければ、課題が克服できると考えたのです。
シンプルな調理でも、おいしく食べられるよう、野菜は毎日農家に届けてもらっています。
「野菜3倍の肉汁のおそばです。お待たせいたしました〜」
このつけ麺に入っている野菜は、300グラム以上。野菜そのものの味が楽しめると客の評判は上々です。
「今までこんなに野菜と一緒にそばを食べたことがないので、新しい感じ。野菜不足を補うのにはいい」
矢代さんは「一人一人、市民に広がっていけば、飯能市の中で野菜3倍のノルマが達成できて、みんなが健康になって、その一助になるよう何年かけても頑張っていきたい」と話していました。
『野菜を3倍食べよう』を合言葉に始まった新たな試み、市民の健康改善につながるのか、街ぐるみの挑戦が続きます。
飯能市では、このほかに市民が参加する “野菜を使った料理” のコンテストも開いていて、入賞した料理のレシピは、市のホームページで公開しているということです。
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問い合わせ先
◇『野菜を3倍食べよう』という飯能市の取り組みについて
「飯能市役所 健康政策課」
電話:042−974−7500
◇紹介した飲食店の野菜3倍メニューについて
・ロールキャベツ温野菜ぞえ
「カフェ・ワイズガーデン」
電話:042−972−0644
・野菜3倍ハンバーグ チーズ焼きデミトマソース
「レストランHAMA」
電話:042−977−0181
・固定種野菜うどん・そば
「長寿庵」
電話:042−972−3596
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