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忘れていても脳には記憶…マウス実験で判明

読売新聞 5月29日(金)8時29分配信

 思い出せなくても、記憶が脳に存在する場合があることをマウスの実験で突き止めたと、理化学研究所脳科学総合研究センターの利根川進センター長らの研究チームが発表した。

 アルツハイマー病の記憶喪失の解明などに役立つ可能性があるという。29日の米科学誌サイエンスに掲載される。

 チームは、不快な電気刺激を受けた時に活動した脳細胞を記録できるように、遺伝子を操作したマウスを作製。飼育箱で電気刺激を与えた直後、一部のマウスに、記憶が十分できないようにする薬を注射した。

 注射したマウスを24時間後、同じ箱に戻しても不快な体験を思い出さなかった。しかし、別の部屋で、電気刺激を受けた時に活動した脳細胞を直接、光で刺激すると、おびえた様子を見せた。不快な体験を思い出せなかったマウスにも記憶の痕跡は残っていて、光による刺激で、不快な体験を思い出したとみられる。

最終更新:5月29日(金)8時29分

読売新聞