『インタファクス』より
2015年5月27日11時15分配信
【ロシア連邦海軍は「ミストラル」に代わるものを見出した】モスクワ、5月27日、インタファクス-ロシアフランスで建造された2隻の
ヘリコプター空母「ミストラル」型の
パリから
モスクワへの引き渡しが挫折した場合、
ロシアには、このクラスの艦が国内で建造できるようになるまで、これらの艦を一時的に代替するものが存在する。
水曜日、
『インタファクス』は造船業界の情報提供者より伝えられた。
「サンナゼールに在るヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクとセヴァストーポリをフランスがロシアへ引き渡さなかった場合、修理及び技術的準備状態の回復後に使用可能となると見られる予備役の大型揚陸艦アレクサンドル・ニコラエフとミトロファン・モスカレンコは、一時的な代替になり得るでしょう」対談者は話した。
彼は、
プロジェクト1174「ノソローク」大型揚陸艦は
「ヘリコプター搭載艦であり、更には揚陸艇の為のドック室を有しており、事実上はヘリコプター揚陸ドック艦である」事を指摘した。
「それ(プロジェクト1174)はミストラルにヘリコプター搭載数(4機に対し16機)、航続距離(7500海里に対し10700海里)で劣りますが、兵員輸送能力に関して、フランス製との差異は些細なものです(揚陸隊員500名に対し480名)。
加えて、フランスのミストラルとの違いは、砲兵装を有している事です」対談者は話した。
彼は、
「アレクサンドル・ニコラエフ」は1997年から、
「ミトロファン・モスカレンコ」は2002年から予備役に編入されている事を想起した。
「これらの艦の船体は良好な状態に在りますが、技術的準備状態を回復する為、必要に応じ、かなりの量の修理作業が必要となります。
主要動力装置の交換も含めて」対談者は話した。
この件に関し、彼は強調した。
「この件に関するあらゆる決定は未だ下されておりません」プロジェクト1174大型揚陸艦は
ネフスキー計画設計局により開発され、
沿バルト造船工場「ヤンターリ」で建造された。
合計で3隻の艦が建造された。
この内の2隻は、現在、予備役となっている。
プロジェクト1174大型揚陸艦の満載排水量は約14000トン、全長160メートル、速力20ノット、乗組員240名。
戦車倉及び艇が不在のドック室には50両までの
PT-76戦車や80両までの
装甲車両及び
歩兵戦闘車を搭載することが出来る。
ドック室には、
プロジェクト1176、1206、11770揚陸艇を配置できる。
「ロソボロネクスポルト」(ロシア兵器輸出公社)と
フランスの
DCNS社は、2011年6月に2隻の
ヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」型の建造契約へ署名した。
ヘリコプター空母の後部は
サンクトペテルブルクの
バルト工場(統合造船業営団の一部)で建造された。
艦首部分との接合及び最終艤装は
サンナゼールの企業
STXフランス造船所で実施された。
2隻の
ヘリコプター空母の建造契約額は12億ユーロだった。
1隻目の
ヘリコプター空母「ウラジオストク」を
ロシアは昨年11月中旬に受領する事になっていたが、
フランス指導者は、
ウクライナ東部の状況悪化を口実に、契約上の義務の履行を拒否した。
DVDK(ヘリコプター揚陸ドック艦)-2「セヴァストーポリ」は2015年秋に引き渡される事になっていた。
記事中でも触れられているように、
ロシアは
フランスへ2隻の
「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、
フランスは
ウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。
現在は、
「ミストラル」級の引き渡しを取り止め、
ロシアへの代金返却及び補償の方向で話が進められています。
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]一方、
ロシアは、以前から
「ミストラル」級のような艦~
将来ヘリコプター揚陸ドック艦~を自国で建造する事は可能であり、その計画が有ると何度も表明しています。
[ロシア将来ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)]そして今回、
「ロシア造船業界の(匿名の)情報提供者」は、退役して保管中の
プロジェクト1174大型揚陸艦(イワン・ロゴフ級)2隻-
「アレクサンドル・ニコラエフ」と
「ミトロファン・モスカレンコ」を修復して現役復帰させる可能性に言及しました。
1982年12月30日に竣工した後、
太平洋艦隊へ配備された
「アレクサンドル・ニコラエフ」は、1997年には予備役に編入、2006年12月18日には正式に海軍から除籍され、
沿海地方フォーキノで係留保管されています。
1990年9月23日の竣工後、
北方艦隊へ配備された
「ミトロファン・モスカレンコ」は、2002年に予備役となり、2006年には海軍から正式に除籍され、
ムルマンスク州の
セヴェロモルスク近郊で係留保管されています。
「アレクサンドル・ニコラエフ」は2008年と2012年に、
「ミトロファン・モスカレンコ」は2008年と2014年にスクラップとして売りに出されましたが、これまでに購入を名乗り出た業者は無く、スクラップにする事すら出来ない状況です。
ロシア海軍も
ロシア国防省も、
プロジェクト1174大型揚陸艦の復帰など決定していませんが、少なくとも
ロシア造船業界には、2隻の
プロジェクト1174を修復して復帰させるべきだと主張する人が居る事は確かなようです。