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【口永良部島噴火】
137人全員避難 初の警戒レベル5、火砕流も 鹿児島
鹿児島県の口永良部(くちのえらぶ)島の新岳(しんだけ)で29日午前9時59分ごろ、爆発的噴火が発生した。火砕流も発生し海岸まで到達。気象庁は噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から最も高い5(避難)に引き上げた。鹿児島県屋久島町は全島に避難指示を出し、島内にいた住民や滞在者137人は同日、船やヘリコプターで10キロ余り離れた屋久島へ避難した。
住民の多くは噴火後、島西部の避難所に一時避難。屋久島町などによると、額にやけどを負った男性(72)と体調不良を訴えた男性(82)が県のヘリで屋久島の病院に搬送された。
気象庁は今回の噴火について、水蒸気爆発ではなくマグマが関与した噴火である可能性を指摘。噴石が火口から3キロ以上飛び3人が負傷した昭和41年の噴火と同規模とみているとした上で、今後も同じ程度の噴火が続く恐れがあるとして厳重な警戒を呼び掛けた。
噴火警戒レベルが「5」に引き上げられたのは、平成19年の運用開始以来初めて。
気象庁によると、最も大きな噴火は5~6分続き、黒い噴煙が火口の上空9千メートル以上にまで達した。その後も噴火は複数回にわたり起きた。
政府は首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置。内閣府によると、鹿児島県は屋久島町に災害救助法を適用。避難所の設置費用などを国と県が負担する。県は自衛隊に災害派遣を要請した。
新岳では昨年8月3日、昭和55年9月以来の噴火が発生。気象庁は噴火警戒レベルを最も低い1から3に引き上げ、住民らが島外に一時避難した。今年3月には高温の溶岩や火山ガスなどが噴煙や雲に映り、明るく見える「火映」も観測した。