自民、世界遺産で韓国に反撃開始 「ユネスコの政治利用許さない」議員30人が緊急決議

夕刊フジ / 2015年5月29日 17時12分

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自民党の合同会議には稲田朋美政調会長(左から2人目)も出席、産業革命遺産の世界文化遺産登録に関する決議を採択した=28日午前、東京・永田町の自民党本部(夕刊フジ)

 自民党が、朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる韓国に反撃を開始した。「明治日本の産業革命遺産」が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産への登録を勧告されたことを受け、韓国が卑劣かつ執拗(しつよう)な妨害工作を展開しているが、これに毅然として立ち上がったのだ。28日朝、国内外に向けて決議を採択した。

 「日本の主張は、きちんと伝えなければならない」

 稲田朋美政調会長は合同会議の冒頭、こう言い切った。

 東京・永田町の自民党本部。午前8時からの合同会議に集まったのは、政調会と内閣部会、外交部会、文部科学部会、日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会、国際情報検討委員会のメンバーら約30人。「『明治日本の産業革命遺産』の世界遺産登録実現を求める決議」を全会一致で採択した。

 決議は「明治日本の産業革命遺産」の歴史的価値を説明したうえで、ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)の登録勧告や、日本政府の取り組みを記し、以下の3点を訴えた。

 (1)「世界遺産委員会が、イコモス勧告を尊重し、技術的・専門的見地から審議し、勧告どおりに世界遺産一覧表への『記載』を決定することを期待している」旨の日本の立場を、世界遺産委員会委員国に対し明確に伝えること。

 (2)世界遺産委員会委員国首脳などハイレベルに対し、内閣府、外務省、文部科学省の政務三役などを通じて、理解と協力を求めること。

 (3)あわせて、外交ルートなど、あらゆる世界遺産委員会委員国とのつながりを活用して理解と協力を求めること。

 韓国国会の非難決議は日本を名指ししていたが、今回の決議には「韓国」という言葉がない。

 党関係者は「当然、韓国側の反発や妨害工作に対応したものだが、われわれは感情的には対処しない。同じレベルで議論する気はない。事実関係を粛々と説明したうえで、『ユネスコの政治利用を許さない』という姿勢を示した。失敗は許されない」という。

 前出の特命委員会の中曽根弘文委員長は合同会議で「安倍晋三首相の米上下両院合同会議での演説阻止や、世界遺産登録阻止の運動。隣国なのに残念だ」と語った。

 イコモスは今月初め、「西洋技術を積極的に改良して日本のニーズや伝統に適合させ、わずか50年余りという短期間で本格的な産業化を達成した」として、日本の23施設を世界文化遺産に登録するよう勧告した。

 この中には、官営八幡製鉄所(福岡県北九州市)や、「軍艦島」の通称で知られる端島(はしま)炭坑(長崎市)、吉田松陰が主宰し、高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤博文、山縣有朋といった人材を多数輩出した松下村塾(山口県萩市)などが含まれている。

 ところが直後から、韓国の外務省や国会が「朝鮮半島出身者を強制労働させた施設がある」と反対姿勢をあらわにし、朴氏までが、ユネスコのボコバ事務局長に登録反対を直訴するなど、妨害工作を進めている。

 韓国の「反日」攻勢に、日本では批判が噴出している。産経新聞社とFNNが23、24両日に実施した合同世論調査では、韓国の反対について、73%が「理解できない」と答えている。

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