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「大風呂敷広げても、結局続かないのが中国」 南米バラマキ歴訪の李首相に地元酷評
今回の歴訪では、狂牛病汚染で2012年に輸入が禁止されたブラジル産牛肉の解除措置も盛り込まれたが、これは中国の習近平国家主席が昨年夏の南米歴訪で表明した施策の1つだ。いっこうに事態が改善せず、ブラジルの畜産業者は不安や不満を募らせているという。
前出のエスタド紙は「中国は同盟国なのか? ライバルなのか? ブラジルに投資すると同時に市場を奪っている。(中国の投資や協力を)不信感を持って見なければならない」とクギを刺すことを忘れなかった。
中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「大風呂敷を広げても、結局続かないのが中国だ。その実例は世界中にあり、中国の不評は、南米に周回遅れで伝わった」といい、こう続けた。
影響力の強化と鉱物資源の獲得狙い
「中国の狙いは、『米国の裏庭』と呼ばれる中南米やカリブ海諸国での影響力を強めることと、豊富な鉱物資源を獲得することだ。中国が進めてきた南米での鉱物資源開発は、中国経済の不調や資源価格の下落で、輸出量が激減している。南米では中国への不満が募っており、李氏がなだめ役として新しい投資の話を持っていったのだろう」
巨大プロジェクトに見え隠れする中国の政治的工作に、各国は神経をとがらせているようだ。