SIMロック解除:家電量販店、格安スマホに商機
毎日新聞 2015年05月01日 20時31分(最終更新 05月01日 21時39分)
5月以降に発売する携帯電話で、SIMロック解除が義務付けられた。大手の半分以下の通信料金がウリの通信サービスや格安スマホを手掛ける家電量販店などは商機と見ており、サービスの充実などで顧客獲得につなげる考えだ。
SIMロックの解除を義務化することで、利用者は希望すれば使い慣れた端末のまま、利用者情報を記録した「SIMカード」を差し替えるだけで他の通信会社に乗り換えることが可能になる。格安スマホ事業者による割安な料金プランの展開も広がっている。
ただ、乗り換えるには自分でSIMカードを差し込んだり、端末の初期設定をしなければならない。このため、家電量販店のヨドバシカメラは東京・秋葉原の「ヨドバシカメラマルチメディアAkiba」に5月中旬、格安スマホの専門カウンターを設ける。格安スマホ向けの端末やSIMカードなどを複数用意し、組み合わせを店員が提案する。初期設定も店員が行うことで、スマホ初心者も取り込む考えだ。順次、全国約20店舗まで広げる考えだ。
SIMフリー端末は、携帯大手の端末ならば原則として入っているセキュリティーソフトが使えない。このため、「トレンドマイクロ」などソフトウエア会社は、SIMフリー端末専用のセキュリティーソフトの売り上げ増を見込む。
また、レンタルビデオ店を展開するゲオホールディングスは4月、中古や新品のスマホとNTTコミュニケーションズの格安SIMカードをセットにして販売する「ゲオスマホ」を開始。中古でも新品でも月約3000円の支払いで利用が可能だ。ゲオでは中古端末の取り扱いを2009年から始めているが「まだ伸びしろがあるからこそ、通信事業者と新たなサービスを提供する必要がある」(ゲオの遠藤結蔵社長)と端末だけでなくSIMカードとの組み合わせに踏み切った。販売はモバイル専門店の50店舗から始めるが、順次全国の1000店舗に広げていく計画だ。
NTTドコモなど携帯大手経由で端末を販売していた富士通も、昨年格安スマホに参入。今年4月には家電量販店にも販路を広げた。【横山三加子、種市房子】