「アジアの盟主」として君臨していた韓国プロサッカーが揺らいでいる。2015年アジア・サッカー連盟(AFC)チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメントに進出したKリーグ4チームのうち、3チームがベスト16の壁を乗り越えられずに脱落した。ベスト8に勝ち進んだのは全北現代だけだ。ACL歴代大会最多優勝(10回)、最多準優勝(6回)という記録を持つKリーグだが、最近は4シーズン中2014年シーズン(FCソウル・浦項)を除き毎年ベスト8に進んでいるのは1チームだけだ。
大会に出場したKリーグ4チームがすべてベスト8まで生き残り、「Kリーグ祭」と言われた10年とは明らかに様相が違う。この数年、プロサッカーに対する投資が急減している中で起こっている危機ということで大変深刻だ。
崔竜洙(チェ・ヨンス)FCソウル監督(41)は27日、ガンバ大阪=日本=と行った決勝トーナメント1回戦第2戦に2-3で敗れた後、「勝負どころで決められる選手がいなかったのが残念だ」と語った。金鶴範(キム・ハクポム)城南FC監督(55)も同日、広州恒大=中国=との試合で0-2で敗れ、「私たちは広州恒大ではなくリカルド・グラールに負けたと考えている。Kリーグのチームは適切な投資に基づいた発展計画を立てなければ、中国や日本などに圧倒されることになる」と言った。城南FC戦で2ゴールを決めたリカルド・グラールは元ブラジル代表で今季広州恒大に入団、その移籍金は城南FCの1年分の予算よりも多い180億ウォン(約20億円)だった。
Kリーグのチームが投資を渋るようになったのは、昨日今日の話ではない。親会社・現代自動車の支援がしっかりしている全北現代だけが年300億ウォン(約33億5000万円)台の予算を維持している。全北現代は13年、ワールドクラスのクラブハウスを建てるなど、安定した投資で人気と実力の両方を手にし続けている。
しかし、Kリーグでトップクラスの人気を誇るFCソウルと水原サムスンは様相が変わってきた。13年に親会社だったサムスン電子が「経営効率化」を名目に予算を削減した水原サムスンは、昨年になると親会社が第一企画に変わり、さらに規模縮小に努めるものと見られる。「スター軍団」の名声を持っていた水原サムスンだが、11年に準決勝に進んで以降はACLベスト8にも入れずにいる。GSグループが親会社のFCソウルも最近2シーズンはデヤン、河大成(ハ・デソン)、エスクデロ、金周栄(キム・ジュヨン)ら主軸選手をすべて中国リーグに行かせてしまった。
SBS解説者のパク・ムンソン氏は「アジア全体のサッカーのレベルやACLの人気が大幅に上がった今、Kリーグのチームでもそう簡単にベスト8進出や優勝は保証されない状況になった。Kリーグ全体が危機意識を感じ、選手育成に知恵を絞らなければならない」と言った。