鳥取市:スナバで「光のツリー」断念…「光害」批判で
毎日新聞 2015年05月29日 23時58分(最終更新 05月30日 00時56分)
鳥取市は29日、鳥取砂丘にある「砂の美術館」で今秋、上空7000メートルまで大型投光器で照射する「光のツリー」の企画を断念すると発表した。10月31日から来年1月3日まで開くイベント「鳥取砂丘光のアートフェア2015」の目玉だったが、生態系や景観を損なう「光害」を懸念する声が広がり、断念に追い込まれた。
光のツリーは19台の投光器で夜空に光を伸ばすもので、15日に深沢義彦市長が企画を発表した。だが光害問題に取り組むNPO「国際ダークスカイ協会」東京支部が21日、生態系や天体観測の阻害などを懸念する表明文を公表。市民らからも批判が相次ぎ、29日朝までに市に寄せられた52件の意見のうち46件が反対や批判だった。
砂丘は国立公園内にあり、投光器の設置には鳥取県の許可が必要だが、平井伸治知事も27日の記者会見で光害への懸念を表明し、不許可にする可能性も示唆していた。
市によると、企画を提案した市内の企業体から変更の申し出があり、28日に断念が決定した。市は「知事の発言や市民の声などを考慮した」と釈明している。代替として山陰海岸の波などをイメージしたイルミネーションを行うという。【小野まなみ】