東芝は29日、不適切会計問題の第三者委員会による調査が長引くため、株主総会を2段階で開催すると発表した。6月25日の定時株主総会では2015年3月期決算報告は見送り、取締役選任(留任)などを決議する。第三者委の調査報告がまとまるのは7月中旬メドという。調査結果を受けて決算を確定した後、臨時総会を開くという異例の手順になる。(関連記事11面に)
29日夜に会見した田中久雄社長は「株主はじめ資本市場関係者のみなさまに多大なご迷惑、ご心配をかけ、深くおわび申し上げる」などと陳謝した。
3月末時点の株主を対象に開く6月の定時総会では、決算報告できない代わりに不適切会計問題について最大限可能な範囲で報告する。取締役の選任は調査が終わるまでの暫定的な意味合いで、報告書が出た後に改めて取締役の候補者を選び、臨時総会で判断を仰ぐ。臨時総会に出席できるのは6月末時点の株主とする。
5月15日に立ち上げた第三者委は、インフラ関連だけでなく半導体、パソコン、テレビ事業も含め、会計処理の妥当性などを約2カ月間かけて調べる。7月中旬に報告書をまとめ、東芝はその影響額を見極めて過去の決算修正と15年3月期決算を発表する。
前期分の有価証券報告書の提出期限は6月末だが間に合わないため、8月末への延長を申請して関東財務局の承認を受けた。8月中に提出すれば上場廃止の恐れはひとまずなくなる。一連の手続きを経て「9月下旬までに臨時総会を開く」(田中社長)としている。
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