「学歴」が問われるのは就職活動のときぐらいで、サラリーマンになってからは「学歴の壁」を感じることはない――。そうお考えの人は、もしかして高学歴の人だけなのかもしれない。俗にいうFランク大学出身のサラリーマンや、高卒、中卒の人は異口同音にこう言うのだ。「転職、結婚、出世の局面で、学歴の壁は何度も出現する」と……。
ここでは、偏差値45の大学を中退した本橋一平さん(仮名・42歳)さんのエピソードを紹介する。
◆後輩が続々と上司に。パワハラに耐えきれず退社するハメに!
年齢と共に邪魔者扱いされ、「管理職を目指す機会ももらえなかった」と嘆く
たとえ大学に進学しても中退すれば最終学歴は高卒止まり。東大や早慶なら中退でも評価してくれるかもしれないが、それは偏差値の高い一部の高学歴大学だけだ。
現在、神奈川県内の不動産会社で働く本橋一平さんは大学3年生のとき、当時偏差値45だった同県内の私立T大を中退。その後、アルバイトや派遣社員をしながら独学で宅建の資格を取得。それが評価され、27歳のときに大手不動産会社に中途採用された。しかし「待ち受けていたのは学歴の壁でした」と話す。
「配属先は本社の個人向け販売部門で、私以外は全員が難関大の出身。自分がT大を中退していることを話すと『そうなんだ……』と、リアクションに困った表情を見せるのはまだいいほうで、はっきりと『なぜ君みたいな大学中退者がウチの会社に入れたの?』と言ってくる人もいました。社内でも優秀な人材が集まる部署だったのでエリート意識が高く、職場内でのカーストは最下層でしたね」
しかし、別の不動産会社で3年ほど働いていたこともあり、入社3か月目には営業成績で部署内の営業マン20人中上位5人にランクイン。以降もトップクラスの営業成績をキープして一目置かれる存在になったが、収入にはほとんど反映されなかったという。
「高卒扱いのため、大卒の同僚と給与体系が違ったんです。辞めた40歳時点の年収は550万円でしたが、同年代の男性大卒社員は、ほぼ全員が800万円以上。会社は『高卒社員としては最高ランクの査定』と言いますが、後輩が次々と出世していくのに自分だけは平社員のまま。しかも、30代半ばになると販売部門から、郊外の営業所へ異動になりました」
本社に比べると残業もほとんどなく、「リストラ用の追い出し部屋ってわけではなかったけど、仕事を頑張ってアピールする機会すら失った」という。
本社に戻されることはなく、営業所の上司も自分より年下ばかり。あるときは8歳年下の上司に呼び捨てにされ、重箱の角をつつくように細かなミスを見つけては「T大学を中退しているからな」と、学歴ハラスメントを受けることもしばしばだった。
「その上司は販売部門時代に新入社員として配属され、面倒を見ていた後輩でした。今となっては、大学中退の私に新人教育を受けたこと自体、我慢ならなかったんでしょうね。けど、そんな彼のおかげで会社を辞める決心がつきました」
年収は下がったが、大卒者のいない街の不動産業者に転職できた本橋さんは少し幸せそうだった。
5/26発売の週刊SPA!に掲載されている大特集『[低学歴]会社員のリアル』では、上記のような「低学歴会社員」のエピソードが続々登場。アラフォーを迎えたFラン大卒、高卒、中卒の人々が目の当たりにする「学歴の壁」の全貌とは? 詳しくはぜひ本誌をご一読されたし! <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>