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 1989年6月に北京で民主化運動が弾圧された天安門事件をめぐり、中国共産党機関紙の人民日報傘下にある国際情報紙「環球時報」が26日付で、党や政府を批判した中国人留学生の公開書簡に反論する社説を掲載した。中国では今も公の場で事件を議論することが許されておらず、党の立場を擁護するものとはいえ、掲載は異例だ。ただ、ネット上では27日までに削除された。

 公開書簡は、事件から26年になるのを前に、米国在住の留学生らが中国内の学生に向けてネット上で発表。情報統制のない海外で当時の資料や体験談を見聞きして真相を知ったとした上で、「政府は今も罪を認めず、犠牲者は侮辱され、生存者や事件に触れた人は弾圧され続けている」と批判している。

 これに対し、社説は「海外勢力が1980年代、90年代生まれの若者を扇動しようとしている」という見出しで、「中国の留学生だとすれば、洗脳されたとしか言えない」と指摘。「当時の若者の大半は深く反省し、考えを改めて祖国に貢献している」「(当時の記憶を)少しずつ薄れさせるやり方は、未来志向の選択。昔のことを持ち出して現在を乱すのは意味がない」と反論した。(広州=延与光貞)