自転車で危険な交通違反をした中高生に対し、昨年1年間に兵庫県警が刑事処分の対象となる交通切符(赤切符)を交付した件数が、過去最多の228件に上ることが、県警への取材で分かった。6月1日施行の改正道交法では、違反を繰り返した自転車利用者に安全講習が義務付けられ、14歳以上が対象となる。受講命令に反すれば原則罰金(5万円以下)が科せられ、県警が交通ルールの順守を呼び掛けている。
県警交通指導課によると、中高生に交付された赤切符は2005年、06年はともに2件だったが、その後は増加傾向が続く。
近年は年間100~150件前後で推移し、自転車事故の増加を受けて取り締まりを強めた昨年は高校生に203件、中学生に25件を交付。成人を含めた全体(1311件)の2割近くを占めた。今年も1~4月で56件(高校生49件、中学生7件)と、昨年同期の32件を上回るペース。
違反内容では「二人乗り」が大半で、「信号無視」や、ブレーキのない自転車に乗るなどの「制動装置不良運転」もあった。赤切符を交付されると書類送検され、起訴猶予処分になることが多いが、悪質な場合は簡易裁判所から罰金の略式命令を受けるケースも。未成年の場合、書類送検後、家裁に送致され処分が決まる。
一方、改正道交法では信号無視や一時停止違反、ブレーキのない自転車の運転など14項目を「危険行為」と規定。3年以内に2回以上、危険行為で摘発されると講習を受けなければならず、従わなければ罰金が科せられる。二人乗りは講習対象の違反に含まれない。
講習は3時間。県警本部や警察署で自転車事故の被害者と加害者の手記を読んだり、事故の映像などで危険性を学んだりする。交通ルールの理解度を確かめるテストもある。
今年は自転車が絡む事故で既に13人(5月21日現在、速報値)が死亡し、前年同期を5人上回る。県警は「講習制度の導入を機に法令順守の機運を高めたい」としている。(初鹿野俊)