ある日、同僚が買った音楽の音が変だと言うのであれこれ聞いていると、この「放課後のプレアデス」のオープニングテーマだという事で聴かせて貰いました。
確かに音が変です。
確かに音が変です。
音が割れるとか、音質が悪いそういうレベルじゃなくて音が途切れる。
これはおかしすぎる、という事で急遽中を覗いてみることになりました。
この「放課後のプレアデス」自体はアニメーション製作会社GAINAXとスバルブランドの自動車で有名な富士重工のコラボレーション企画で2011年2月にyoutube限定で配信されていました。
当時はスバル車乗りで、元来クルマも好きでもあったことから興味があってYoutubeの方は見たことがありました。
キャラクターたちが乗るほうきのようなもの(作中ではドライブシャフトと呼ぶらしい)がスバル車のエンジン音だった事もあり、
「おお!これは水平対向のエンジン音!」
なんて笑っていたわけですが。
最近、深夜枠でアニメ化されて放映されているのも知っていましたが見ていませんでした。
さて、ちょっと中身を覗いてみましょう。
波形の全体像。四角い。 |
16bit のデジタルデータ的には、最大音量の数値は 65535 でこれを0db。そこからどれだけ音量差があるか、というように考えます。
データがこの 65535 に近い数字だった場合、 AAC や MP3 に圧縮すると再生するときに切り上げ切り捨ての誤差でこの数字を超えたり、下回ってしまったりします。
圧縮しているので復調するときに演算誤差で1サンプル辺りの数値が上下することがありますが、それを加味しても全体的にぎりぎりの音量を常に出しているということになりますね。
この曲の場合、後でも書きますがバスドラムの部分やベースがアクセントをつける部分でこの状況が起こっていて、全体的に余裕が無いデータのようです。
このピークに当てている部分が最後まで影響してきます。
次にクリッピングを探します。
波形の有るところが大体クリッピング |
これも凄い量ですね。
3 サンプル以上連続してピークに当たっているところを抜き出しています。
縦にある黒い棒の部分が該当する部分です。曲の全体に渡ってクリッピングがあるようです。
デジタルデータの場合、先にも書きましたが 65565 を超えるものは記録できないので、それを超えるデータはすべて 65535 に切り揃えます。
データ上の最大値が続くのでプチプチとしたノイズになったりひどい場合は音が止まったりします。
今回、この楽曲ではバスドラムのタイミングで音が止まります。
長い時間クリッピングしていて一定の方向で試験信号のような波形が出ています。
矩形波 |
こういう状況の場合、曲が途切れたような感じに聴こえるようです。
この曲全体ではこの形の波形が随所に(バスドラムが鳴る度に)見られます。
ちなみに、テレビ放送の方も同じような傾向はありますがここまでひどくなく、少なくともスピーカーの動きが最大振幅のせいで止まるとかそういうことはないです。
TV版で同じような傾向ということは、CD化する前段階で既にこの状況に近かった可能性もあります。
プレマスターの状態でこういう状況ではメディア化の時には何も調整することが出来ずこのまま作るしかなかったことも考えられます。
すべてが製作側でやっていることなんだとしたらこれを商売にできるセンスは無いですね。
買った同僚には同情しますが、それよりもこんな作品にされてしまったアーティストにも同情を禁じえません。
曲自体は一昔前の RPG の OP で出てきそうなノリの曲で嫌いではないのですが。
あ、これあれですね。
ものすごく改善された音源がリマスタリング!!って再販されるハイなんとか商法ってやつですね。
ちなみに。
「ドライブシャフトなぞ消耗品だ!!」
みたいなセリフをいう悪役がいて
「そんなFFは許せない!!」
とかやり取りないんですかね。
ないですよね。そうですよね。
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