著作権にまつわる法制度を検討する文化審議会(文化庁長官の諮問機関)の小委員会が7日、今期の初会合を開き、既存の著作物をパロディーとして改変・2次創作する行為について、今期の検討課題として取り上げることを決めた。現行の著作権法にはパロディーに関する規定がないが、インターネット上の動画共有サイトなどでの2次創作が活発に行われていることから法整備を目指す。ただし、パロディー作品に対する関係者の認識は一様でなく、法制化には曲折も予想される。
パロディー作品は、著名な絵画や楽曲を一部書き換えたり、漫画やアニメなどで元の作品の世界観や登場人物を流用しながら新たなシナリオを考えたりして、元の作品とは別の新たな作品として発表するもの。中には、内容の良さや芸術性の高さなどで高い評価を得るパロディー作品もある。
これまで日本の著作権法ではパロディーに関する規定が存在しなかった。このため、現行の著作権法を厳密に適用すると、パロディーは「同一性保持権」の侵害にあたり、元の作品の著作者に許諾を得ない限りは違法となる可能性があった。しかし、近年はインターネットの動画共有サイトなどを中心にパロディーによる2次創作が本格化しており、実情に合わせた法体系の整備を求める声が高まっている。
今回の法制化の検討は、文化審の法制問題小委員会(法制小委)の傘下に新設するワーキングチームが中心となって行う。すでにパロディーの法整備を進めている欧米主要国の例を参考にしつつ、日本での現状を踏まえて、どのような類型の2次創作であればパロディーとして認めるかといった点を検討する。文化庁は時期のめどを示していないが、今後2~3年かけて著作権法にパロディー関連の規定を盛り込むための検討を行う意向とみられる。
ただしパロディーを巡っては、一般消費者やネット上のコンテンツ配信事業者などが法改正に積極的な一方、権利者側には「元の作品の世界観にただ乗りしたり、元の著作者が望まない形で改変されたりする場合がある」といった慎重意見がある。このため、今後の法制小委の審議が曲折を経る可能性もある。
このほか今期の法制小委では、間接侵害にまつわる規定の見直しも議題として取り上げる予定。これについては、13年の通常国会での法改正を目指して今期の法制小委で意見を集約する方針だ。
(電子報道部 金子寛人)
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パロディー、パロディー作品、文化庁、著作権
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