著作権の非親告罪化とは、著作権者(例:イラストの作者さん)の告訴が無くとも著作権侵害を公告、例えば裁判にする事ができるという法律の仕組みである。
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概要
現在は親告罪であるため著作権侵害があった場合でも、権利者(例えば作者)が訴えない限りは黙認される状況となっている。
niconicoにおいてだけでも、
など多数の二次創作コンテンツが存在するが、一部の作品では権利者が確認しているとしか思えない状況でも削除されていない物も存在している。[1]
コミックマーケットなどの二次創作同人作品を扱うイベントや、個人サイトやPixivなどのイラスト投稿サイト、ニコニコ静画での二次創作イラストの掲載など、極めて広い範囲でこの「黙認」の影響があるのが現状である。
非親告罪化が行われると上記のような黙認が無くなり、警察などが著作権侵害として二次創作を取り締まる事が可能になるといわれている。日本では今までにない出来事であり、実際には警察は動かないのではないかという意見がある一方、非合法になる事で警察の動きとは無関係にこういった活動が不可能になると危惧する声もある。
TPP(リーク)情報まとめ
2013年
2013年11月、ウィキリークスによってTPP関連の文書が流出した。この中には非親告罪化に関する項目も含まれていた。
非親告罪化に反対している国は 日本・ベトナムの2国のみ、賛成はUS/NZ/PE/SG/BN/CL/AU/MY/CA/MXとなっており、非常に劣勢である。このままTPPの協議が進むのであれば、非親告罪化の導入は避けられないと考察する専門家も。 詳細は以下記事など
TPPウィキリークス流出文書~激戦区「知的財産」、主要11条項での交渉勢力図
この解説によれば「商業的規模」の二次創作が対象とされているが、商業的規模とは同人誌などの販売という規模も含まれるという解説がある。広告のあるWebページやイラストサイトなどの扱いは不明。
広告など一切無い個人サイトでイラストを掲載したり、無料で同人誌を配布するのであれば対象外になる可能性はある模様。しかしまだ詳細な点は流動的であり、さらに同人誌を無料で配布するのはあまりにも現実的でない。
2014年
TPP協定知財章第2リーク文書(2014年5月版条文案の著作権保護期間延長、法定賠償、非親告罪化関連部分)
と、条件付きで賛成しているというリーク情報がある。
2015年
上記NHKなどの報道により、日本は非親告罪化に関して、反対から受け入れへと立場を変えた事が報道された。
萎縮効果
様々な分野への影響が懸念されているが、二次創作に関連しての萎縮効果も懸念されている。
ニコニコ動画の動画投稿者やイラストを公開している人、同人作家などに対して不快感を持っている第三者(いわゆるアンチなど)が存在するケースは珍しくない。
そうした人が投稿しているコンテンツに二次創作に当たる物がないか探しだし、それを通報するという手段が予想される。特に何らかの原因で炎上状態になったり注目を浴びる場合、または人気が特に高い作品の作者であればより懸念される。
「警察に通報する」というだけで実際には通報しなかったしても、「非親告罪化で違法になった」というだけで、その投稿者が確実に法律を守ろうとするなら動画を削除する可能性が高いという推測もあり、これらの影響による萎縮効果は相当な物になるという予想もある。
それ以前に、該当しそうな二次創作の動画を放置することで投稿者が大量に逮捕されたり法的な責任を追及されかねない動画サイト側が先だって削除を行うという推測もある。
TPPの詳細は公開されていないため、上記のような事にはならないという情報もあるものの懸念はあり、それにより混乱や萎縮が予想されている。
影響のある範囲
この項目では、非親告罪化によって影響を受けると考えられている各分野についてまとめる。
同人誌・同人音楽(CD)・コミックマーケットなど
同人誌といわれるものは多数有り種類によって状況が異なる。オリジナルの同人誌のみを制作する場合は基本的に無関係である。ただしその作品の二次創作を作った第3者がオリジナルの作者の意思と無関係に逮捕される可能性は考えられている。オリジナルの作者が二次創作を許可する旨宣言していれば警察があえて動く事は無いだろうとも推測される。
二次創作同人誌の場合、オリジナルの作者が二次創作を許可している場合はおおむね問題が無いと考えられている。ただし、作者がガイドラインなどで特定の内容・種類などを制限している場合、その制限に違反すれば警察が動く理由になるのでは、という指摘もある。
例として VOCALOID 初音ミク などで有名なクリプトンでは、二次創作を許可しているもののキャラクター利用のガイドラインを作成し許可する内容を明らかにしている。この中の禁止事項を一部引用すると
他、複数の項目が挙げられている。 (詳細はリンク先を参照下さい)
一部の悲観的な予想では、二次創作を明確に許可するガイドラインや同人マーク付きの作品の二次創作が急増し、それ以外の許可されていない作品の二次創作がほとんど無くなるのではないか、という予想もある。
イラストサイト(ニコニコ静画、Pixiv、個人ブログやサイト)
同人誌の項目と同じとなる。
リーク情報にある「商業的規模」に限定されるのならば無償で掲載するだけなら無関係かもしれない。イラストサイトなど有料あるいは無料だが広告掲載がある場合などの扱いは不明。
MAD
音・映像MADなどはニコニコ動画でも多数見受けられるが、元の映像や音の使用許可が無い場合現状のグレーから黒となり、警察が動く可能性は特に高いと言われている。
二次創作はキャラクターや世界観の特徴などは複製するものの、元の絵などを直接そのまま使用するという意味ではないが、MADでは音や映像をそのまま使用するため、より厳しい状況になるのではないかという推測がある。
歌ってみた・演奏してみた・踊ってみた
ニコニコ動画ではいくつかの音楽の著作権について、ドワンゴが支払いを代行する事で利用可能になっている曲がある。これらを適正に利用し、歌を追加した動画であれば引き続き問題はない。
詳細は 音楽著作物及び音楽原盤の利用に関するガイドライン を参照。
許可されていない音楽や使い方の場合は問題になる。
問題になるケースの例
※管理を委託していない曲とは一部のインディーズやVOCALOID曲に多いもよう。
ゲーム実況
ゲーム画面や音を利用する事を許可している作品を除き、ゲーム実況も問題になると考えられる。
その一方でゲーム実況によりゲームの知名度や売り上げ向上につながるという現状からゲーム自体に配信機能を追加する例もあり業界側の対応も見られる。 
ニコニコ動画での例として、二次創作が許可されていると知られている東方Projectだが、ゲームの画面を動画として撮影し掲載する事は、ガイドラインで禁止されている。しかし作者はゲーム実況に否定的では無く、こういった場合の扱いがどうなるのかは不明。[2]
詳細は東方Projectの大百科記事を参照。
漫画家・アニメ
パロディを含むマンガやアニメは多数あるが、非親告罪化するとあらかじめパロディ元へ許可を取るか、捕まる覚悟でパロディを入れる事になってしまう。
実際どうなるかは別としても、パロディに凄まじい手間がかかったり、その自体が一切出来なくなる可能性が指摘されている。
また、意図せず似たキャラクターを描いた場合なども問題になるのではないかと指摘されている。
DJ
クラブDJなど、今までは慣例的に明確な許可を取らずに曲を使用していたジャンルにおいても影響が懸念されている。[3]
対応策
2次創作同人誌や、その他の二次創作が好きな人を中心に対応策が検討されている。
- 作品の作者が独自に二次創作ガイドラインを制定 二次創作を許可する → 東方Project VOCALOID など
- 二次創作を許可するマークとガイドラインを作り、作者に使用してもらう → 同人マーク など
- ニコニコ動画などのサイト側が権利者から許可を取得する
よくある質問と関連情報
主にネット上でよく見かける質問とそれに関する情報をまとめる。
二次創作などで警察が動くわけがない
といった意見を目にする。実際警察がどう動くかは現状不明であるが、全く動かなかったとしてもいつ逮捕されるか分からない非合法な活動をするとしたら、それは相当な圧力・萎縮になる、という考察もある。
アメリカ(すでに非親告罪)にもパロディ同人誌はあるが、捕まったという話は聞かない
アメリカなどいくつかの国には「フェアユース」がある。著作物を公正に利用するなら、著作権の侵害にはあたらない という法律である。日本には存在せず、過去に検討された事はあるが、いくつかのフェアユースと関係があるのかよく分からない法律はできたのだが…。 詳細は 福井弁護士のネット著作権ここがポイント などを参照
パロディー規定が導入されるのでは
著作権法に「パロディー」規定検討へ 文化審小委 こういったニュースがある。しかし内容を見ると、海外のパロディに関する規定と同等の内容ではないかと考えられ、その場合オリジナルに対してユーモア・風刺・批判的か、といった内容に関する規定となり、日本で言うところのパロディ・二次創作とは大きく異なる。
またこの規定により二次創作が守られるとしても、TPPに間に合うという保証は無い。
このニュースに関しては最近の事で情報不足である。
参考サイト
フランス・アメリカ・ドイツ著作権法におけるパロディ規定:文化審小委「パロディー」規定検討へ
関連項目
出典・参考
- ★ホントは怖いTPP ・・・「非・親告罪化」で日本の漫画界はどうなる?(赤松健さん) 
- 福井弁護士のネット著作権ここがポイント TPPで日本の著作権は米国化するのか~保護期間延長、非親告罪化、法定損害賠償
- TPPで日本の著作権法はどう変わる?――保護期間延長、非親告罪化、匂いや音の特許まで(津田大介さん) 
脚注
- *アニメ「進撃の巨人」MADがニコ動で削除→復活 レアケースにファン2度びっくり
- *上海アリス幻樂団 ZUN氏も登壇「『東方Project』が可能にしたもの ―プラットフォームとしての<東方>」での発言より 
- *コミケだけでなく「クラブ」もピンチ? TPPで懸念される「非親告罪化」とは?
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http://dic.nicomoba.jp/k/a/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E3%81%AE%E9%9D%9E%E8%A6%AA%E5%91%8A%E7%BD%AA%E5%8C%96
読み:チョサクケンノヒシンコクザイカ
初版作成日: 13/04/15 15:55 ◆ 最終更新日: 15/02/11 17:51
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