05月29日 18時01分
天皇皇后両陛下は、6月、宮城県を訪れ、戦後パラオから引き揚げた人たちが開拓して入植した地区を視察されることになりました。
宮内庁によりますと、両陛下は6月17日から2日間の日程で宮城県と山形県を私的に旅行されます。
はじめに蔵王町を訪れ、太平洋戦争の激戦地パラオから引き揚げた人たちが開拓し「北のパラオ」という思いを込めて「北原尾」と名付けた地区に足を運ばれます。
両陛下は、記念碑の前で開拓の歴史について説明を受けたあと、雑木林や竹やぶに覆われた高原を切り開いてつくった牧草地などを視察されます。
4月パラオを訪れて戦没者を慰霊した両陛下は、戦後の引き揚げで苦労を重ねた人たちにも心を寄せていて、子どもの頃に入植し今も「北原尾」で暮らすお年寄りたちと懇談する機会も持たれます。
両陛下は、翌18日には、日本一のさくらんぼの産地、山形県東根市を訪ねて、旬を迎えたさくらんぼ園を視察し収穫も楽しまれます。
このあと、隣接する河北町で、特産の紅花の栽培の様子や染め物の展示を視察するなどして、夕方、東京に戻られます。
宮城県の村井知事は、「両陛下には東日本大震災のあとこれまで4度ご来県いただきました。ご訪問先それぞれの場所で被災者をはじめ県民一人ひとりに心温まるお言葉をかけられる両陛下のお姿に多くの県民が心からの感謝と尊敬の念を抱くとともに、県民にとっても大きな励みになりました。両陛下のご来県は県民にとって大きな励ましと希望を与えてくださるもので大きな喜びです」とする謹話を発表しました。
また、戦後蔵王町の北原尾にパラオから家族で引き揚げてきた工藤静雄さん(73)は「両陛下にこんな小さな集落に訪問いただけることに驚いている。戦後引き揚げてきて標高の高い北原尾を開拓するのにもまた苦労して頑張ってきたことを伝えることができればいいなと思っている」と話しています。
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