【ドバイ=松尾博文】アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビからホルムズ海峡を通らずに原油を外洋に搬出するパイプラインが12月にも稼働する。ペルシャ湾の入り口に位置する同海峡は海上輸送される世界の原油の4割が通過する輸送の動脈。ただ、イランとの緊張やイスラム過激派によるテロなどのリスクがあるため同国は迂回ルートの確立で日本など消費国への供給安定につなげる。
パイプラインはアブダビ政府系ファンド、国際石油投資会社(IPIC)が2008年から建設を進めてきた。アブダビ南西のハブシャン油田からUAE東部のフジャイラ港まで370キロを結ぶ。
輸送能力はUAEの原油生産量の約7割に相当する日量150万バレル。IPICのクバイシ社長は「来月にもUAE産の原油で運用を始める」と述べた。
ホルムズ海峡は最も狭い場所で幅33キロ。日本向けだけで年間1千隻以上のタンカーが通過、紛争や事故で航行不能となれば世界の原油需給は一気に逼迫する。7月には商船三井のタンカーがイスラム過激派によるとみられる攻撃を受けた。
フジャイラはペルシャ湾の外側のオマーン湾に面し、船舶の一大補給拠点になっている。IPICはここに原油の新しい輸出ターミナルや製油所を建設する計画も進めている。IPICは日本のコスモ石油や、傘下の投資会社を通じて独ダイムラーの筆頭株主になっている。
クバイシ、IPIC、UAE、アラブ首長国連邦、パイプライン、原油、フジャイラ、ホルムズ海峡、ホルムズ、イスラム過激派、商船三井、ダイムラー、海峡迂回、コスモ石油