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 トロッコ電車で知られる黒部峡谷鉄道が28日、宇奈月―欅平(20・1キロ)の全線で開通した。大雪の影響で当初の予定より1カ月遅れた。この日を心待ちにしていた観光客は一番列車から列をつくり、新緑が壁のようにそそり立つ車窓風景を楽しんだ。半袖姿の軽装も目立ったが、次々に通過するトンネル内の冷気に「思ったより寒いね」と上着を取り出して重ね着する姿が見られた。

 北陸新幹線の開業で乗客増が期待される中、5月3日に全線開通する予定だったが、除雪や線路設備の復旧に時間がかかり、4月29日に宇奈月―笹平(7・0キロ)で営業開始。その後、5月15日に宇奈月―猫又(11・8キロ)、同22日に宇奈月―鐘釣(14・3キロ)を開通させ、この日を迎えた。営業は11月末まで。

 宇奈月温泉のおかみたちでつくる「かたかご会」の浜田昌子会長は「お客さんたちから『トロッコ電車で一番奥まで行きたい』と問い合わせが多かったが、ようやく『どうぞ』とお返事できます。宇奈月温泉でお待ちしています」と喜んだ。

 29日には、標高約600メートルの欅平駅から関西電力の専用列車、竪坑エレベーターと徒歩で標高860メートルの展望台を巡る「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」も始まる。問い合わせは黒部・宇奈月温泉観光局(0765・57・2850)。(高津守)