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<詐欺容疑>カード情報を撮影し悪用…元コンビニ従業員逮捕

毎日新聞 5月28日(木)15時1分配信

 アルバイト先のコンビニエンスストアで、客のクレジットカード情報を盗み取り不正利用したとして、男が電子計算機使用詐欺容疑で警視庁に逮捕された。客から支払時に渡されたカードをひそかにスマートフォンで撮影していたという。日本クレジット協会(東京都中央区)によると、ごく簡単な手口を含むクレジットカード情報の「盗み取り」による被害は年間約60億円に上るという。【斎川瞳】

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 ◇「盗み取り」被害、年間60億円

 逮捕されたのは東京都台東区浅草橋、元コンビニ従業員、神野大二郎容疑者(29)。逮捕容疑は2014年9月〜12月、当時勤務していた東京都調布市内のコンビニで男性客2人のクレジットカード情報を盗み、その情報を使って電子マネー17万6000円分をだまし取ったとしている。

 警視庁サイバー犯罪対策課によると、容疑を認めており、少なくとも客12人のカード情報を不正利用し、電子マネー50万円分を得たほか、ネットショッピングで70万円使っていたとみられる。

 捜査関係者によると、ネットショッピングでカードを利用する場合、カード番号と使用期限、裏面にある「セキュリティーコード」と呼ばれる番号の三つを入力すれば決済できることも多い。神野容疑者は、アルバイト先のレジで客がカードでの支払いやポイント加算を求めると、機器が不調なふりをして時間を稼ぎ、カードの記載情報をスマートフォンで動画撮影するなどしていたという。

 警視庁は昨年10月にも、ガソリンスタンドで盗み取った客のカード情報で電子マネーを購入したとして4人を逮捕。京都府警も昨年、同様に盗み見たカード情報を不正利用した4人を書類送検した。

 日本クレジット協会によると、従来は機械でカードの磁気情報を読み取り、偽造カードを作る「スキミング」の被害が多かった。しかし、わざわざ偽造せず、カードの記載情報を盗み見て悪用する手軽な手口が増えており、同協会が昨年から調査を開始。昨年のカード不正使用被害総額約106億円のうち、6割近くが店で情報を盗み取ったり、ネット上でカード情報を不正取得したりする「フィッシング」と呼ばれるケースと判明した。同協会は「誰でも被害に遭う危険がある。不正利用が少額だと、気づかない場合があり、こまめに利用明細を確認してほしい。ネットショッピングサイトを運営する側も、カード情報だけでなく、暗証番号入力などの対策が求められる」としている。

最終更新:5月28日(木)20時29分

毎日新聞