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2015年05月29日 08時50分 UPDATE

「ごめんな」泣きわめく犬、猫の夢に苦しめられ……犬猫殺処分、自治体職員の苦悩 (1/2)

自治体が13年度に殺処分した犬猫の数は約12万8000匹。毎日約350匹が処分されている計算だ。「実態を知ってほしい」。自治体で処分に携わる職員の苦悩は続く。

[産経新聞]
産経新聞

 自治体が2013年度に殺処分した犬猫の数は約12万8000匹だった。愛護意識の高まりで減少傾向にあるものの、毎日約350匹が処分されている計算だ。昨年は小型犬が大量に捨てられる事件も起きた。「実態を知ってほしい」。自治体で処分に携わる職員の苦悩は続く。(SANKEI EXPRESS)

罪の意識

画像 犬や猫を殺処分するための「麻酔薬注入」スイッチ=3月、山口県下関市の動物愛護管理センター(上)殺処分のため、容器に入れられた猫(下)

 捨てられた犬や猫を引き取った自治体は、譲渡先を探す。最近は愛護団体と協力して新たな飼い主を見つける活動が奏功し、札幌、熊本両市は14年度の犬の処分がなく、神奈川県(横浜市など除く)は犬猫ともゼロを達成した。しかし、多くの自治体では人員と飼育場所に限界があり、「ゼロ」はほど遠い。

 高知市にある中央小動物管理センターでは、県と市が委託した企業の社員が二酸化炭素(CO2)ガスで殺処分している。14年まで約7年働いた野村笹乃さん(28)は、苦しむ犬や猫を見て罪の意識を抱えてきた。「どんな思いだったか知ってほしい」と訴える。


画像 動物愛護管理センターで殺処分のため、容器に入れられた猫=3月、山口県下関市
画像 収容された子犬。引き取り手がなければ殺処分される

 野村さんは、命を救うためには動物好きの行動が鍵とみる。好きだからと野良猫に餌をやれば繁殖し、鳴き声やふんに困った人が処分を依頼する。悪循環をよそに、餌をやった本人は増えた猫の世話や掃除はしない。

 「地域で掃除や避妊去勢に取り組めば助かる命は多い」。野村さんは退職後、小動物看護師や訓練士の資格を取った。飼い主と動物に手厚く対応できる力を生かし、殺処分を減らすのが目標だ。

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