競馬好きエコノミストの市場深読み劇場

日本の「バブル」がはじけるとき

日本版リーマンショックは本当に来ないのか

2008年9月のリーマンショック。日本発の「リーマン級ショック」が起きる可能性はあるのか(写真:ロイター/アフロ)

今年も早くも半年が過ぎようとしています。

このあたりで世界経済を振り返って今後に備えておきましょうか。

懸念材料は欧州、米国に基盤築くトヨタに「拍手」

まず、世界経済は引き続きユーロが重荷になったまま、QE(量的金融緩和)という、いわば「禁じ手」を世界中の中央銀行が行うことで、何とか現状を保っている状態と言っていいでしょう。

ギリシアは元より、ロシアへの経済制裁の逆噴射が効き始めており、さらには歴史的につながりが深く、多額の投資をしてきた中南米の新興国も不安を抱えています。その意味では欧州は「3重苦」に引き摺られていると言っても良く、引き続き世界経済の最大の懸念材料は欧州と言ってよいと思います。

一方、アメリカは失業率・雇用者数とも2008年のリーマンショック前の水準まで回復、懸案だった住宅市場の回復も顕著で、労働人口の減少が2014年に底打ちをしたこともあり、いよいよ「黄金の30年」とでも言われるべき成長期に入っていきます。

原油価格の下落も追い風で、消費は絶好調です。何せ、25歳から40歳の労働人口が向こう30年増え続ける先進国などアメリカしかないわけですから、中国でさえ労働人口が減少する事態に直面していることを考えると、世界中に残された「有力市場」はアメリカしかないと断言できます。

2015年3月期で連結営業利益が2兆7505億円と言う驚くべき数字をたたきだしたトヨタ自動車に対し、北米事業に偏り過ぎだ、との批判が出ていましたが、むしろそれは全く逆。中国、東南アジアの成長が鈍化する中、がんがん車が売れる市場があるとするとアメリカなのであって、そこで圧倒的な基盤を作り上げたトヨタはすでに次の10年~20年の自動車業界の勝者になるであろうことは確実です。

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