これまでと何も変わらない。専守防衛も、平和主義も、自衛隊のリスクも――…[続きを読む]
地球で随一の人気スポーツとされるサッカーのファンはもちろん、世界中から…
地球で随一の人気スポーツとされるサッカーのファンはもちろん、世界中からレッドカードが乱れ飛ぶような醜聞である。
国際サッカー連盟(FIFA)が汚職疑惑で大揺れだ。大会の放送権をめぐる贈収賄などの疑いで、副会長ら14人が米司法省に起訴された。
この20年余のFIFA幹部らの汚職の規模は、1億5千万ドル(185億円)を超す疑いがあるというから、嘆かわしい。
FIFAは司法当局に全面協力し、当局に委ねるだけでなく自ら腐敗を解明すべきだ。
降ってわいた話ではない。2018年ロシア、22年カタールが決まったワールドカップ(W杯)招致に絡んだ買収疑惑では複数の理事が活動停止に。このときの理事24人のうち、3分の1近くの7人が汚職で辞任、もしくは退任に追い込まれた。
権力闘争も激しく、前回の会長選挙ではカタール出身の理事が集票工作の金を25人に渡し、追放になった。
FIFAは、世界的な有料衛星放送の普及とともに収入が急増し、商業主義が深まった。W杯の開催を望む国も多い。
W杯の絶大な人気ゆえ、FIFAへのチェック機能が働きづらい。サッカーそのものの魅力がまぶしすぎるから、汚職があっても、スポンサーのなり手はいくらでもいる。ファンが団結して、協賛企業の不買運動を起こすとも考えにくい。
だが、同じような構図をもつ国際オリンピック委員会(IOC)は、不祥事を機に自己改革をしている。1999年、五輪招致での贈収賄事件を受けて組織の風通しを良くした。選手代表らを委員に加え、定年を80歳から原則70歳に下げた。会長の在任期間は最長で12年にした。
しかし、FIFAは批判に聞く耳を持たなかった。会長職には定年も多選を禁じる規定もない。前任のアベランジェ会長が82歳までの24年間務め、後任のブラッター会長は79歳で18年目を迎え、強権ぶりが目につく。高額な年収も公開しない。
今回の事件の進展がどうであれ、FIFAは徹底的な改革が必要だ。組織運営全般の透明性を高めなくてはならない。
29日、現会長が5選をめざす会長選挙が予定されている。この事件の最中に強行したら暴挙だ。もはや現会長に改革は期待できない。新しいリーダーの下、刷新を図るべきだ。
日本サッカー協会は、再びW杯を日本で開く夢を描く。新たにFIFA理事に就く田嶋幸三・日本協会副会長は、不正撲滅と組織の浄化を訴えるべきだ。
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